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下町の軒先で、スイカを食べながら笑い合う友人たち

長持ちさせるには

インプラントは、お手入れを続けるほど長く使い続けやすくなります。寿命の目安から、メンテナンスと毎日のお手入れまでお伝えします。

①インプラントの寿命は何年?どのくらいもつか

骨に埋入した部分は20年以上、かぶせた歯は10〜15年で作り直すことが多いとされます。
分けて考えます。

明るい食卓で、60代の夫婦が向かい合って和食を楽しんでいる。夫は箸で料理を口に運びながら笑顔
骨に埋入した部分とかぶせた歯は、寿命が違う

骨に埋入する土台(インプラント体)と、かぶせる歯(上部構造)は寿命が違います。

骨に埋入した部分と、かぶせた歯

  • 骨に埋入した部分:問題が無ければ20年以上もつことが多い
  • かぶせた歯:すり減り・欠け・ねじのゆるみで、10〜15年で修理や作り直しが多い

骨に埋入した部分と、かぶせた歯の寿命の目安

骨に埋入した部分20年以上

かぶせた歯10〜15年で作り直し

入れた日10年20年25年
10年後に、インプラント1本ごとに見て残っていた割合96.8%
10年後に、患者さんごとに見て(1本も失っていない人の割合)92.5%
割合は10,871本・4,247人を最長22年追った研究の数字で [1]。「残っている」ことは「問題なく使えている」こととは限りません。

10年後に残っている割合

約1万本を追った研究では、10年後に96.8%が残っていました[1]。

研究のまとめでも、おおむね一致しています[2]。

「残っている」と「快適に使えている」は少し違う

  • 研究の数字で、
  • 「生存」は口の中に残っている割合。骨が減っていても、作り直していても含まれる

ご自分の見通しは、診察で一緒に確かめましょう。

ご高齢の方は、通いやすさも含めて

65歳以上では、失う危険がほぼ2倍の可能性が示されています[2]。

年齢そのものより、持病や通院の続けやすさが関わると考えられます。

②歯の場所によって違う

下あごの前歯がもっとも長持ちしやすく、上あごの奥歯はやや短い傾向です。
骨の硬さと噛む力の違いです。

上あごと下あごを横から見た断面。上あごの奥歯の上には空洞があり、下あごの前のほうは骨が厚い。場所による違いを示すイラスト
下あごの前歯は骨が硬く、上あごの奥歯は上に空洞がある

下あごは骨が硬く、安定しやすいとされます。

上あごの奥歯で気をつける理由

歯の場所ごとの、残っている割合の幅

下の前歯96〜98%
下の中ほどの歯95〜97%
下の奥歯94〜96%
上の前歯90〜94%
上の中ほどの歯91〜95%
上の奥歯88〜93%
85%100%

濃い色は下あご、薄い色は上あご(中ほどの歯は、糸切り歯のうしろの2本)

部位別の生存率の幅です。骨の硬さや噛む力のかかり方で差が出ます。数字は研究ごとの幅で、一人ひとりの見通しではありません。

差は最大で10ポイントほど

下の前歯で96〜98%、上の奥歯で88〜93%です。

上の奥歯でも9割前後が残っており、お手入れと定期的な確認で長持ちが期待できます。

かぶせる歯の形でも変わる

1本ずつ独立した歯が、もっとも予後がよいとされます。つなげた形は、1本の不具合が全体に及ぶことがあります。

形は、噛む力・残っている歯・お手入れのしやすさで決めます。

③メンテナンスでは何をするか

出血・骨・かぶせた歯のゆるみ・噛み合わせなど6つの点を確かめます。
間隔は1〜3か月ごとが目安です。

明るい部屋で、歯科衛生士が小さな鏡を手に、少しあお向けに座った男性の患者さんのお口をやさしく確かめている
歯石取りだけでなく、問題を早く見つけるための検査

メンテナンスでは歯石取りに加えて、問題を早く見つけるための項目を確かめます。

メンテナンスで確かめる6つの点

  1. 汚れの残り方みがき残しの場所を一緒に確かめ、お手入れの方法を見直します
  2. 歯ぐきの出血そっと触れて血が出るかどうか。炎症のいちばん早いサインです
  3. 歯ぐきの溝の深さ細い器具でそっと測ります。深くなっていれば、炎症が進んでいる可能性があります
  4. かぶせた歯のゆるみねじや歯がぐらついていないか。ゆるみは汚れのたまる原因にもなります
  5. 骨の高さ(レントゲン)1年に0.2mmほどまでの変化は、自然な範囲とされます。それを超えて減っていないかを比べます
  6. 噛み合わせ一本に強い力がかかっていないか。歯ぎしりのある方は特に確かめます
メンテナンスで確かめる主な項目です。骨の高さは、かぶせた歯を入れた時点のレントゲンと比べることが勧められています [3]。レントゲンを撮る間隔は、お口の状態によって変わります。

とくに大切な2つ

明るい相談の一角で、白衣の歯科医師がモニターのあごのレントゲン写真を指さしながら、患者さんに説明している
歯ぐきの状態と、レントゲンでの骨の高さを確かめます

歯ぐきの出血と、レントゲンでの骨の高さです。骨の変化はご自分では気づきにくいため、検査で確かめます。

1年に0.2mmほどまでの変化なら自然な範囲で、入れたときの記録と比べます[3]。

メンテナンスの頻度(通う間隔)はどう決めるか

目安は1〜3か月ごとで、次の点から起こしやすさを見立てて決めます[4]。

  • 歯周病の経験
  • 歯ぐきの出血・深い溝
  • タバコ
  • メンテナンスを続けられたか
  • かぶせた歯の形

合わせて決めた間隔の効果

起こしやすさに合わせた間隔のほうが、よい状態だったという報告があります[5]。

研究の数はまだ限られています[5]。

④毎日のお手入れ

基本はご自分の歯と同じ歯みがきです。
すき間には傷つけにくい歯間ブラシが向き、フロスは使い方を一緒に確かめます。

朝の洗面台。木のトレーに、コップに立てた歯ブラシ、歯間ブラシ、毛先の小さなブラシ、たたんだタオルが並ぶ
歯ぐきとの境目の汚れを落とすことが目的

むし歯にはなりませんが、汚れがたまれば周りの歯ぐきと骨は炎症を起こします。

根元がくびれた形が多く汚れが残りやすいため、根元までていねいにみがきます。

お手入れの道具の選び方

  • 電動歯ブラシ手みがきより汚れが落ちやすいという報告があります。ただし当て方が大切で、手みがきでも丁寧にできていれば十分です
  • 歯間ブラシ(先をコーティングしたもの)広いすき間はフロスより掃除しやすく、金属のむき出しでないものはインプラントの表面を傷つけにくいとされています
  • 小さな筆のような歯ブラシ(ワンタフトブラシ)根元のくびれや、つなげた歯のすき間の細かいところに向いています
  • フロス(スポンジ状のものを含む)繊維がインプラントの表面に残り、炎症の原因になりうるという報告があります。使い方をメンテナンスで一緒に確かめましょう
電動歯ブラシはコクランレビュー [6]、歯間ブラシとフロスは2025年の系統的レビュー [7] と van Velzen ら 2016年 [8] から。合う道具はお口によって違うため、メンテナンスのときにご一緒に選びます。

歯ブラシ

電動歯ブラシは手みがきより汚れと炎症が減ったという報告があります[6]。

手みがきでも当て方が正しければ十分です。

すき間のお手入れ

すき間は歯ブラシでは届きにくいため、専用の道具を使います。歯間ブラシや水で洗う器具は、フロスより炎症を下げたとされます[7]。

歯間ブラシはコーティングされたものが、表面を傷つけにくいとされます。

フロスは使い方を確かめて

炎症が治らなかった10人全員でフロスの繊維が残っており、取り除くと9人で改善しました[8]。

繊維が絡んで汚れの足場になると考えられています[8]。

フロスが合う場面もある

  • 10人の観察にもとづく報告[8]
  • 表面が露出している場合に起きやすい[8]
  • 歯ぐきが覆っていれば問題にならないことも多い
  • スポンジ状のフロスが有効な場面もある

使い方は、メンテナンスのときにご一緒に確かめます。

歯みがきで血が出る、歯ぐきが腫れていると感じたら、次のメンテナンスを待たずにご連絡ください。

⑤治療を受ける前に知っておいていただきたいこと

入れたあとのお手入れと通院が、長持ちにつながります。
いま残っている歯を守ることも、同じくらい大切です。

下あごの歯並びを上から見た模型。並んだ自分の歯の中に、インプラント1本が収まっている。お口全体を見ることを表すイラスト
失った部分だけでなく、残っている歯を守る

残っている歯を、もっと大切に

もし私や家族が歯を失ったら、インプラントは真っ先に考える選択肢です。

ただ、抜けるたびに入れるより、いま残っている歯を守ることのほうが、体にも家計にもやさしい選択です。

歯を失った原因(むし歯・歯周病・噛む力)を取り除き、生涯の予防を続ける。これが基本になります。

お口全体を見て決める

  • 条件が合えばインプラントをおすすめし、ブリッジ・入れ歯が合う場合もご説明します
  • ほかの医院で抜歯と言われた歯が残せる可能性も見ます
  • よい点とそうでない点を聞いたうえで一緒に決めます
  • 相談したからといって、決める必要はありません

ほかの医院で入れたインプラントも

ほかの医院で入れたインプラントのメンテナンスや不具合のご相談も受け付けています。

メンテナンスの料金と間隔、歯周病の管理との組み合わせは、初回のご相談でご説明します。

参考文献(8件)
  1. French D, Ofec R, Levin L. Long term clinical performance of 10 871 dental implants with up to 22 years of follow-up: A cohort study in 4247 patients. Clin Implant Dent Relat Res. 2021;23(3):289-297.PMID: 33768695
  2. Howe MS, Keys W, Richards D. Long-term (10-year) dental implant survival: A systematic review and sensitivity meta-analysis. J Dent. 2019;84:9-21.PMID: 30904559
  3. Berglundh T, Armitage G, Araujo MG, et al. Peri-implant diseases and conditions: Consensus report of workgroup 4 of the 2017 World Workshop on the Classification of Periodontal and Peri-Implant Diseases and Conditions. J Periodontol. 2018;89 Suppl 1:S313-S318.PMID: 29926955
  4. Heitz-Mayfield LJA, Heitz F, Lang NP. Implant Disease Risk Assessment IDRA—a tool for preventing peri-implant disease. Clin Oral Implants Res. 2020;31(4):397-403.PMID: 32003037
  5. Mojaver S, Zad A, Sarmiento H, Fiorellini JP. Efficacy of supportive peri-implant therapy in the management of peri-implant mucositis and peri-implantitis: A systematic review. J Am Dent Assoc. 2026;157(2):141-152.e4.PMID: 41204923
  6. Yaacob M, Worthington HV, Deacon SA, et al. Powered versus manual toothbrushing for oral health. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(6):CD002281.PMID: 24934383
  7. Eagle IT, Theis-Mahon N, Arnett MC. Best oral self-care practices for peri-implant conditions and diseases: a systematic review. Front Oral Health. 2025;6:1657025.PMID: 41487703
  8. van Velzen FJJ, Lang NP, Schulten EAJM, ten Bruggenkate CM. Dental floss as a possible risk for the development of peri-implant disease: an observational study of 10 cases. Clin Oral Implants Res. 2016;27(5):618-21.PMID: 26261052
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