毎日の歯みがきに、フッ化物の力を
「きちんと磨いているのに、またむし歯ができた」。
そんなとき、磨き方だけでなく、
歯みがき剤の選び方や使い方も見直してみましょう。
むし歯予防には、
汚れを落とすことと、
歯が酸に負けにくい環境をつくることの両方が大切です。
子どもだけでなく、大人や高齢の方にも、
フッ化物を毎日のケアに取り入れる意味があります。
歯ブラシが届きにくい場所も守る
奥歯の細い溝や歯と歯の間には、
歯ブラシの毛先が十分に届かない場所があります。
歯みがきは欠かせませんが、
「回数を増やせば、それだけでむし歯を防げる」とは限りません。
歯間の清掃には、お口に合ったフロスや歯間ブラシも役立ちます。
そこで組み合わせたいのが、
フッ化物入り歯みがき剤です。
一般に「フッ素入り」と呼ばれ、
溶け出した歯の成分が戻る再石灰化を助け、
歯を酸に強くする働きがあります。
ただし、できてしまった大きな穴を元どおりにするものではありません。
濃度と量は年齢に合わせましょう
パッケージの「ppmF」は、フッ化物の濃度を表します。
値だけで選ばず、年齢に合った量と組み合わせるのがポイントです。
・歯が生えてから2歳:900〜1,000ppmFを米粒程度、1〜2mm。
・3〜5歳:900〜1,000ppmFをグリーンピース程度、約5mm。
・6歳以上・大人・高齢者:1,400〜1,500ppmFを歯ブラシ全体、1.5〜2cm程度。
子どもには保護者が適量を出し、
チューブは手の届かない場所に保管しましょう。
歯が生え始めた時期から使えますが、
少量を守ることが大切です。
2歳までの子は、
磨いた後にティッシュなどで軽く拭き取ってもかまいません。

磨いた後のすすぎも大切です
就寝前を含めて1日2回、
フッ化物入り歯みがき剤で磨くことを基本にしましょう。
3歳以上では、磨いた後に歯みがき剤を軽く吐き出し、
うがいをするなら少量の水で1回にします。
何度もすすぐと、お口に残したいフッ化物も流れやすくなるためです。
うまく吐き出せない方や、
飲み込みに問題がある方は、
年齢だけで量を決めず、
歯科で使い方を相談してください。
無理にうがいをさせる必要はありません。
大人の歯やインプラントがあっても
年齢を重ねて歯ぐきが下がると、
露出した歯の根元にもむし歯ができやすくなります。
以前に治療した歯も、
再びむし歯になることがあるため、
予防を続けることが大切です。
インプラントが入っていても、
ご自身の歯が残っていれば、
フッ化物入り歯みがき剤の使用が勧められます。
インプラントそのものをむし歯から守るためではなく、
残っている天然の歯を守るためです。
次の受診で確認してみませんか
お使いの歯みがき剤を持参するか、
濃度が分かるパッケージの写真を見せてください。
「どのくらいつけるか」「すすぎは何回か」も伝えると、
ケアを具体的に見直せます。
むし歯のなりやすさに応じて、
歯科でのフッ化物塗布などを組み合わせる方法もあります。
毎日の清掃とフッ化物、
甘い飲食物のとり方の工夫、
定期的な歯科の確認を重ねて、
将来も使える歯を守っていきましょう。
参考資料
- フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法(普及版)(日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)
- フッ化物配合歯磨剤(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)
- ライフステージ別にみたむし歯の特徴(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)
- フッ化物利用(概論)(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)
- 相田 潤「新しい歯科疾患の重要性の概念とフッ化物応用」日本歯科医師会雑誌 Vol.79 No.5、2026年8月、36–45頁(364–373頁)。


