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更年期から気をつけたい骨と歯の健康|骨粗鬆症と歯科治療の大切な関係

「閉経後は骨が弱くなると聞いたけれど、歯にも影響するの?」
「骨粗鬆症の薬を使っていても歯科治療は受けられる?」。

骨の健康は、歯を長く守るうえでも知っておきたいテーマです。
女性ホルモンのエストロゲンと骨の関係から、
歯科受診で確認したいことまで、順番にお伝えします。

骨は毎日、少しずつつくり替えられています

骨は硬く動かない組織に見えますが、
体の中では古い部分を取り除き、
新しい骨に置き換える作業が続いています。

これを「骨のリモデリング」と呼びます。
古い骨を取り除く担当が「破骨細胞」、
新しい骨をつくる担当が「骨芽細胞」です。
骨の内部にいる「骨細胞」も、骨の状態を保つために働いています。

エストロゲンには、
骨が過剰に取り壊されるのを抑え、
骨の維持を助ける働きがあります。

閉経に伴って分泌が減ると、
骨をつくる量より取り除く量が多くなり、
骨量が減りやすくなります。

単にカルシウムが足りないというだけでなく、
骨を入れ替える仕組みの変化も関係しているのです。

破骨細胞は古い骨を取り除き、骨芽細胞は新しい骨をつくります。閉経後にエストロゲンが低下すると、骨を取り除く量が上回りやすくなります。
骨は取り除く働きとつくる働きで入れ替わります。閉経後は、そのバランスが変化します(模式図)。

骨細胞を守る「セマフォリン3A」というたんぱく質と
エストロゲンの関係も研究されています。

ただし、詳しい仕組みの多くは動物実験などで調べられた段階で、
この研究だけで、人の骨粗鬆症に対する治療効果が確認されたわけではありません。

骨粗鬆症は、痛みがなくても進みます

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、
骨の量が減ったり、内部の構造が弱くなったりして、
骨折しやすくなる病気です。

閉経は重要なリスクの一つですが、
年齢、体格、家族歴、喫煙、病気や薬なども関係し、
男性にも起こります。

骨が弱くなっても、骨折するまで症状がないことがあります。
「以前より身長が低くなった」
「背中が丸くなった」
「軽く転んだだけで骨折した」といった変化は、
医科で相談するきっかけになります。

骨密度は骨の強さを判断する材料の一つで、
腰や脚の付け根などを測る検査が用いられます。

歯科のレントゲンだけで全身の骨粗鬆症を確定することはできません。

歯を支える骨と、歯周病の関係

歯の根を支えているあごの骨を「歯槽骨(しそうこつ)」といいます。
骨粗鬆症と、歯周病による歯の周囲の組織の破壊には関連が報告されています。

閉経後の女性を対象にした研究をまとめた結果でも関連はみられますが、
研究ごとの差が大きく、根拠の確かさには限界があります。
「骨粗鬆症になれば必ず歯周病になる」「閉経すると歯が抜ける」という意味ではありません。

歯周病は、歯垢の中の細菌による炎症が関わる病気です。

骨の健康を気にする時期こそ、
歯ぐきの出血や腫れを見過ごさず、
歯みがきにフロスや歯間ブラシを組み合わせ、
定期的に歯周病の検査を受けましょう。

ホルモンの変化だけで口の症状を説明せず、
実際の歯ぐきや歯槽骨の状態を確認することが大切です。

骨粗鬆症でもインプラントはできますか?

骨粗鬆症という診断だけで、
インプラント治療が一律にできなくなるわけではありません。

複数の研究をまとめた解析では、
骨粗鬆症のある人とない人で、
インプラントが残る割合に明確な差は示されていません。

ただし、研究の方法や対象にはばらつきがあり、
誰にでも同じ結果を保証するものではありません。

治療を考える際は、
あごの骨の量や状態、歯周病の有無、全身の健康状態、
使用している薬などを合わせて評価します。

治療の可否や見通しは、
一人ひとりの状態を調べて判断します。

診断名だけで諦めたり安心したりせず、個別に相談しましょう。

歯科には「飲み薬も注射も」伝えてください

骨粗鬆症そのものと、
治療薬に関連する注意点は分けて考える必要があります。

ビスホスホネート製剤やデノスマブなど、
骨が壊される働きを抑える薬では、
まれに「あごの骨の一部が壊死し、治りにくくなる」薬剤関連顎骨壊死(がっこつえし)が問題になります。

頻度は薬の種類、使う目的や量などで異なり、
骨粗鬆症の治療と、がんに対する高用量の治療は同じではありません。

一方、骨折を防ぐ治療の利益は大切です。

歯科治療が心配でも、
自己判断で薬をやめたり、
注射を延期したりしないでください。

休薬が必要かどうかも一律には決められず、
処方医と歯科医が相談して判断します。

来院時はお薬手帳を持参し、
薬の名前、開始時期、注射なら最後に受けた日と次回の予定を伝えましょう。
骨折の経験や、分かれば骨密度検査の結果も役立ちます。

抜歯やインプラントの予定があるときは、
骨粗鬆症の治療を担当する医師にも早めに知らせてください。

骨と歯を守る、続けやすい習慣を

食事ではカルシウムだけに偏らず、
ビタミンDやたんぱく質も含めてバランスよく摂ることが基本です。

体に合った歩行や筋力を保つ運動、禁煙、転倒しにくい生活環境も骨の健康を支えます。
すでに骨折した経験がある方や骨粗鬆症の方は、
運動の種類や強さを主治医に確認しましょう。

毎日の口腔ケアと歯科での確認に、
医科での骨の評価を組み合わせることが大切です。

骨粗鬆症の治療と歯の治療を安心して両立できるよう、
まずは現在の薬と体の状態を共有してください。

参考資料

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