歯並びは、
いつ、どう整えるか

でこぼこ出っ歯受け口歯並びを整える目的は、見た目だけではありません。磨きやすさ、噛みやすさ、ご本人の納得も含まれます。
- 12〜20歳の4人に1人に、歯のでこぼこ(国の調査)
- 子どもには、あごの成長を使える時期がある
- 大人も、条件がそろえば何歳からでも
「早いほどよい」「目立たない装置がよい」とは一律に決まらず、歯並びの種類で答えが変わります。
①いつ始めるか
子どもと大人
子どもには、あごの成長を使える時期があります。
ただし早いほどよいとは限らず、時期は歯並びで考えます。
大人は何歳からでも始められます。
子どもに有利な時期はありますが、早いほどよいとは限りません。
- 出っ歯:7〜11歳でも12歳以降でも、仕上がりは同じ
- 早く始めると、前歯のけがが減ることが分かっています(30%→19%)
- 受け口・あごのずれ・場所不足は、早めに診る価値があります
早く始めると、前歯のけがが減る理由
上の前歯が前に出ていると、転んだりぶつかったりしたときに、前歯が先に当たりやすくなります。前歯の出かたが大きいほどけがが多いことは、多くの研究のまとめで示されています。
医療の研究を評価する国際的な組織(コクラン)のまとめでは、出っ歯の子どもを7〜11歳から2段階で治療すると、12歳以降に1回で治療した場合より、前歯のけがが30%から19%に減りました。一方で、治療が2回になるため、期間と費用は増えます。
成人矯正は、何歳からでも
歯が残っていること、歯ぐきと骨が健康であること、治療にご協力いただけること、矯正による利点があること。この4つがそろえば、何歳からでも始められます。治療の期間も、子どもと大きくは変わりません。
②装置の種類と、目立たない矯正
表側のワイヤー、裏側のワイヤー、そして取り外し可能なマウスピースがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあります。
表側裏側マウスピース
主な装置は3つ。優劣ではなく、歯並びに合わせて選びます。
- マウスピースは、奥歯を後ろへ動かす・歯列を横に広げる動きが得意で、ねじれの修正や歯を引き出す動きはやや苦手です
- 抜歯をしない軽度〜中等度の歯並びなら、仕上がりはワイヤーと差がありません
- 抜歯が必要な場合や、歯を大きく動かす場合は、ワイヤーが向いています
- マウスピースは、1日20時間以上つけることが前提です
裏側のワイヤーは目立ちにくい一方、慣れるまで話しにくさがあります。
ワイヤーとマウスピースの得意・不得意
| ワイヤー | マウスピース | |
|---|---|---|
| 奥歯を後ろへ動かす | 苦手 | 得意 |
| 歯列を横に広げる | 苦手 | 得意 |
| 捻れの修正・歯を引き出す | 得意 | 苦手 |
| 取り外し | できない | できる(つける時間の自己管理が要る) |
③治療の流れ・期間・痛み
相談と精密検査のあと、装置をつけておよそ1年半〜2年半、4〜6週毎に通院が必要です。
調整のあと数日、押されるような違和感が出ることがあります。

相談、精密検査、説明、装置、保定の順に進みます。始める前に、期間・費用・リスク・ほかの方法をご説明します。
- 装置をつける期間は、およそ1年半〜2年半。4〜6週毎に通院します
- 保定の期間は3〜5年。1〜3か月毎に通院します
- 調整のあとの違和感は、翌日がいちばん強く、3〜4日で落ち着きます
装置の間は清掃が困難になるため、白い初期むし歯が新たにできた人は34%の報告があります。
入念なクリーニングが重要となります。
④歯を抜くかどうか
抜かずに並べられる場合も、抜いたほうが口元が落ち着く場合もあります。
検査で歯とあごの大きさを測り、両方の場合をお見せします。

歯の大きさとあごの大きさの差、横顔のラインを検査で測って決めます。
- 抜かない:場所が足りている、またはあごを広げられる時期
- 抜く:場所が足りず、並べると口元が前に出るとき
- 抜歯した治療は後戻りが少ない傾向
どちらでも並べられるなら、両方の予測をお見せして一緒に決めます。抜歯が必要となる歯並びは、ワイヤーも含めてご提案します。
⑤費用について
矯正治療は、基本的に自費診療です。
料金は、料金表のページでご確認いただけます。

医療費控除
成長を妨げないための子どもの矯正など、必要と認められる矯正は医療費控除の対象になりえます。見た目が目的の矯正は対象外で、判断は税務署が行います。
お支払いの方法
現金・クレジットカード・電子マネー・QRコード決済に対応しています。
⑥外して終わりではない
後戻りと保定
装置を外したあとの歯は、元の位置へ戻ろうとします。
保定装置(リテーナー)の期間と時間を守ることで、歯並びを保ちやすくなります。
固定式取り外し式戻ろうとする力は外して3〜4か月が最大なので、この時期は特に保定装置で支えます。
- 6年の追跡で、100人中21人に後戻り(研究の数字)
- 1年目に終日、または2年以上つけた人は後戻りが大きく減る
- さまざまな保定装置があり、お一人ずつに適したものを選んで使います
歯並びは、頬・唇が外から押す力と、舌が内から押す力がつり合う位置で落ち着きます。まわりの筋肉が新しい歯並びに慣れるまで、保定装置で支えます。
装置を外したあとに後戻りした人の割合
⑦当院での矯正
矯正専門医による診療日は、毎月第三木曜日と第三日曜日の月に二度です。
矯正だけでなく、抜歯・むし歯の治療・クリーニングまで、同じ医院でいつでも受けられるので安心です。
墨田区・押上駅から徒歩1分なので、装置の調整で通う日も便利です。
矯正の途中で必要になる抜歯や、むし歯の治療、毎回のクリーニングも、通い慣れた当院で対応します。ほかの医院へ移る必要はありません。
ご相談だけでも大丈夫です。ほかの医院の説明を聞いたうえでのご相談も歓迎します。
当院での治療の流れ
相談気になることとご希望をうかがいます。学校の検診で指摘された方、ほかの医院の説明を聞いた方も、お気軽にどうぞ
精密検査レントゲン・頭の規格写真・歯の模型・あごの関節などを調べ、歯とあごの状態を確かめます
説明治療の方針・期間・費用・リスクと、抜く場合・抜かない場合の予測をご説明します
装置をつけるむし歯の治療と歯みがきの練習を終えてから始めます。4〜6週毎に通い、毎回クリーニングします
保定・メンテナンス装置を外したあとは、保定装置で歯並びを支えます。1〜3か月毎に確かめます
⑧矯正歯科 Q&A
参考文献(21件)
- 厚生労働省『平成28年(2016)歯科疾患実態調査 結果の概要』表23〜27(12〜20歳の歯列・咬合)
- 中島榮一郎『歯列矯正 これなら安心』講談社 健康ライブラリー 4章 矯正歯科にかかるには/5章 治療の実際/7章 痛み対策と注意点/8章 Q&A(時期・大人の4条件・流れと期間・痛みの経過・保定・費用の考え方・食事と楽器)
- Batista KBSL, Thiruvenkatachari B, Harrison JE, O'Brien KD. Orthodontic treatment for prominent upper front teeth (Class II malocclusion) in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2018;3:CD003452. PMID: 29534303
- Abbing A, Koretsi V, Eliades T, Papageorgiou SN. Duration of orthodontic treatment with fixed appliances in adolescents and adults: a systematic review with meta-analysis. Prog Orthod. 2020;21:37. PMID: 33015719
- 佐本博「アライナー矯正の事始めよ ── リスク回避のための基本的な考え方・診断・大臼歯の遠心移動」Dental Diamond 2022年1月号 表1・p.34-37
- Papageorgiou SN, Koletsi D, Iliadi A, Peltomaki T, Eliades T. Treatment outcome with orthodontic aligners and fixed appliances: a systematic review with meta-analyses. Eur J Orthod. 2020;42(3):331-343. PMID: 31758191
- Alhafi ZM, Hajeer MY, Alam MK, Jaber ST, et al. Quality and stability of orthodontic treatment outcomes with clear aligners versus fixed appliances: a systematic review and meta-analysis. Eur J Orthod. 2025;47(6):cjaf091. PMID: 41127933
- Kaur K, Quadri SA, Saini RS, Alarcón-Sánchez MA, et al. Comparative impact of clear aligners versus fixed orthodontic appliances on periodontal health, pain, and quality of life: a systematic review and meta-analysis. BDJ Open. 2026;12(1). doi:10.1038/s41405-026-00450-z PMID: 42270616
- Hussain U, Wahab A, Kamran MA, Alnazeh AA, et al. Prevalence, Incidence and Risk Factors of White Spot Lesions Associated With Orthodontic Treatment - A Systematic Review and Meta-Analysis. Orthod Craniofac Res. 2025;28(2):379-399. PMID: 39717964
- Tieu LD, Saltaji H, Normando D, Flores-Mir C. Radiologically determined orthodontically induced external apical root resorption in incisors after non-surgical orthodontic treatment of class II division 1 malocclusion: a systematic review. Prog Orthod. 2014;15:48. PMID: 25139200
- 東京バイオプログレッシブ・スタディ・クラブ編『矯正に強くなる本』クインテッセンス出版 1982 p.86-87(早期治療が理にかなう場合・早期の拡大と抜歯率)、p.98・182-183(専門医と一般開業医の分担)
- 齋藤功(新潟大学)「幼少期から成人期にかけて継続的な治療が必要な疾患に関する矯正歯科の立場からの説明」厚生労働省 育成医療受給者の実態の把握及び支援に関する有識者会議 資料2(2024。保険適用の66疾患・前歯3歯以上の萌出不全・顎変形症)
- Martin C, Littlewood SJ, Millett DT, Doubleday B, et al. Retention procedures for stabilising tooth position after treatment with orthodontic braces. Cochrane Database Syst Rev. 2023;5:CD002283. PMID: 37219527
- Zhang X, Wang A, Zhang X, Zhang H, et al. Analysis of predictive factors for post-orthodontic stability: a retrospective cohort study. BMC Oral Health. 2026. doi:10.1186/s12903-026-08204-x PMID: 41904477
- Lang X, Guo G, He Z. Correlation between temporomandibular disorders and the history of orthodontic treatment: A systematic review and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2026;105(27):e49626. PMID: 42410842
- 三谷英夫『矯正治療のためのアトラス ── 咬合と顎顔面頭蓋のバイオメカニクス』1章 咬合の概念(p.1-3・73)、2章 均衡域(p.17-21)、7章 頭の姿勢と筋(p.63-71)、9章 チンキャップの双生児の観察(p.107-111)。著者自身が「データではなく生体構造からの推論」と明記
- Arraj GP, Rossi-Fedele G, Doğramacı EJ. The association of overjet size and traumatic dental injuries — A systematic review and meta-analysis. Dent Traumatol. 2019;35(4-5):217-232. doi:10.1111/edt.12481 PMID: 31062510
- Price J, Whittaker W, Birch S, Brocklehurst P, Tickle M. Socioeconomic disparities in orthodontic treatment outcomes and expenditure on orthodontics in England's state-funded National Health Service: a retrospective observational study. BMC Oral Health. 2017;17(1):123. doi:10.1186/s12903-017-0414-1 PMID: 28927396
- 中島榮一郎『歯列矯正 これなら安心』講談社 健康ライブラリー p.141-145:「同一の製品番号は無い」、費用に関わる要素、料金体系の2方式、「終わるまでに総額いくらか」を確認すること
- 東京バイオプログレッシブ・スタディ・クラブ編『矯正に強くなる本』クインテッセンス出版 1982 p.96-97:費用の一律の部分と症例で変わる部分、はっきりした体系が信頼の第一歩
- 国税庁 タックスアンサー No.1128「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(発育段階にある子どもの成長を阻害しないための歯列矯正、容ぼうを美化するための費用は対象外)
