押上ファースト歯科03-5819-4825予約・相談
冬の窓辺で、湯のみを手に微笑み合う夫婦

マウスピース矯正
向く歯並びと自己管理

透明なマウスピースを段階的に替えて歯を動かす矯正です。向く歯並びと、自己管理が前提であることを、良い面も限界もお伝えします。

①仕組みと、1日何時間つけるか

形の違う透明なマウスピースを順に替えて歯を動かします。
1日20〜22時間つけることが前提です。

透明なマウスピースと、持ち運び用の青いケース
マウスピースは、食事と歯みがきのとき以外つけておきます

歯の動きを段階に分けて少しずつ形の違うマウスピースを作り、決められた間隔で替えていきます。

メリット・デメリット
取り外せることが長所、だからこそ自己管理を

  • 食事と歯みがきのときは外せて、磨きやすい
  • 金属がなく、目立ちにくい
  • 外す時間が長いと計画どおりに動きにくい

取り外し式の装置は、使った時間だけ効果が出ます。装着時間の目安は相談時にご説明します。

何年かかるか(治療の期間)

期間は歯並びで変わります。抜歯をしない症例では、ワイヤーと期間に差がないと報告されています。

②得意な動き・苦手な動き
向かない歯並び

奥歯を下げる・横に広げる動きは得意です。
ねじれ・引き出し・根ごとの移動は苦手で、補助の工夫で補います。

マウスピースが得意な動き(奥歯を後ろへ、列を横へ広げる)と、苦手な動き(ねじれを直す、引き出す、根ごと動かす)
得意な動きと、苦手な動き

マウスピースとワイヤーは、得意な動きが違います。優劣ではありません。

ワイヤーとマウスピースの、得意・不得意

歯の動きワイヤーマウスピース
奥歯を後ろへ下げる苦手得意
歯列を横に広げる苦手得意
歯のねじれを直す得意苦手
歯を引き出す(挺出)得意苦手
歯を根ごと平行に動かす得意苦手
「苦手」は不可能ではなく、補助の工夫が要るという意味です。

苦手な動きは、歯につける小さな突起(アタッチメント)や、ゴム・ワイヤーの併用で補います。

向きやすい歯並び

ワイヤーを検討する歯並び

  • 抜歯して、前歯を大きく下げる
  • 強いねじれ、埋まった歯を引き出す
  • 上下のあごの骨のずれが大きい

予定どおり動かないときは、マウスピースを作り直して回復することがあります。

③ワイヤーと比べて、仕上がりはどうか

抜歯をしない軽度〜中等度では、仕上がりと期間はワイヤーと変わりません。
抜歯が要る場合はワイヤーが向いています。

抜歯しない軽度のでこぼこの列にマウスピース、抜歯して大きなすき間を閉じる列にワイヤー
抜歯が要るかどうかで、向く装置が分かれます

15試験のまとめでは、抜歯をしない場合、仕上がりと期間に差がありませんでした。

抜歯の有無で分かれる、ワイヤーとの比較

抜歯をしない、軽度〜中等度
  • 仕上がりの評価に差なし
  • 治療期間に差なし
  • 短期の安定性も同程度
抜歯をする、大きく動かす
  • ワイヤーのほうが仕上がりが良い
  • 前歯が計画より平均1.9mm引っ込まない
  • 奥歯が平均6°前に倒れる
  • 根の向きの制御が劣る
研究の数字で、当院の成績ではありません。

一方、成人の2019年のまとめでは、マウスピースのほうが「許容できない結果」が1.6倍でした。向く歯並びかを検査で確かめます。

シミュレーションは、診断ではありません

ノートパソコンの画面に映る、歯の列の立体のシミュレーション
シミュレーションは、計画を見るための道具です

計画は3Dシミュレーションで作りますが、抜くか抜かないかと最終的な位置は、歯科医師が検査で決めます。AIが診断するわけではありません。

④痛み・むし歯・歯ぐきへの影響

治療初期の痛みは少なく、歯垢や歯ぐきの指標も良いと報告されています。
ただし差は小さめです。

朝の洗面所で、30代の女性が歯ブラシを手に鏡を見ている
マウスピースでも、歯みがきは欠かせません

32研究のまとめでは、固定式より治療初期の痛みが少なく、歯垢・歯ぐきの指標も良い結果でした。差は小さいとされます。

装置のまわりの白い初期むし歯の跡も、固定式より少ない傾向です。

  • 水以外は外してから飲む。砂糖入りの飲み物はむし歯の原因に
  • マウスピースは毎日洗い、歯をみがいてから戻す
  • 装置が無い分、磨き残しを見つけやすい

新しいマウスピースに替えた日は、押されるような痛みが出ることがあります。

マウスピース矯正は自費診療です(医療費控除の対象になることがあります)。料金は、料金表のページでご覧いただけます。

参考文献(9件)
  1. 佐本 博「アライナー矯正の事始めよ ── リスク回避のための基本的な考え方・診断・大臼歯の遠心移動」Dental Diamond 2022年1月号 巻頭特集。表1(ワイヤー矯正とアライナー矯正の歯牙移動の違い)、長所・短所(p.36-37)、クリンチェックは診断ツールではない(p.34-35)
  2. Papageorgiou SN, Koletsi D, Iliadi A, Peltomaki T, Eliades T. Treatment outcome with orthodontic aligners and fixed appliances: a systematic review with meta-analyses. Eur J Orthod. 2020;42(3):331-343.PMID: 31758191
  3. Alhafi ZM, Hajeer MY, Alam MK, Jaber ST. Quality and stability of orthodontic treatment outcomes with clear aligners versus fixed appliances: a systematic review and meta-analysis. Eur J Orthod. 2025;47(6):cjaf091.PMID: 41127933
  4. Baneshi M, O'Malley L, El-Angbawi A, Thiruvenkatachari B. Effectiveness of clear orthodontic aligners in correcting malocclusions: a systematic review and meta-analysis. J Evid Based Dent Pract. 2024;25(1):102081.PMID: 39947778
  5. Kaur K, Quadri SA, Saini RS, Alarcón-Sánchez MA, Heboyan A. Comparative impact of clear aligners versus fixed orthodontic appliances on periodontal health, pain, and quality of life: a systematic review and meta-analysis. BDJ Open. 2026;12(1).PMID: 42270616
  6. Abu Arqub S, Chheda H, Crumpton J, Yang X, Farha P, Upadhyay M. Clear Aligners in Extraction-Based Orthodontic Treatment: A Systematic Review and Meta-Analysis. Orthod Craniofac Res. 2025;29(1):12-29.PMID: 41195763
  7. Raghavan S, Abu Alhaija ES, Duggal MS, Narasimhan S, Al-Maweri SA. White spot lesions, plaque accumulation and salivary caries-associated bacteria in clear aligners compared to fixed orthodontic treatment. A systematic review and meta-analysis. BMC Oral Health. 2023;23(1):599.PMID: 37635207
  8. 中島榮一郎『歯列矯正 これなら安心』講談社 健康ライブラリー。取り外し式装置は使わなければ効果が無い(p.138)、始める前に総額を確認する(p.145)、医療費控除(p.205)
  9. Gao M, Yan X, Zhao R, Shan Y, Chen Y, Jian F, Long H, Lai W. Comparison of pain perception, anxiety, and impacts on oral health-related quality of life between patients receiving clear aligners and fixed appliances during the initial stage of orthodontic treatment. Eur J Orthod. 2021;43(3):353-359. doi:10.1093/ejo/cjaa037PMID: 32613250
矯正歯科のページに戻る② 装置の種類と、目立たない矯正

あわせて読む