①装置を外したあと、歯は戻ろうとします
装置を外して治療は8〜9割。
残りは保定の時間で、戻る力は外して3〜4か月が最も大きいとされます。
ホーレー型ラップアラウンド型クリア型固定式残りの1〜2割が、保定装置(リテーナー)の期間です。
骨や歯ぐきの線維が、まだ新しい位置になじんでいないためです。
装置を外してから、戻ろうとする力
戻りやすいのは、どんなとき
- 保定装置の時間が足りない、途中でやめた
- 舌を前に出す癖が残っている
- 大きく広げた歯列、口元が出た横顔
②なぜ戻るのか
頬・唇と舌の釣り合い
歯並びは、頬・唇と舌の圧力が釣り合う場所に収まります。
筋が慣れるまで、保定装置で支えます。

歯列は外側を頬と唇、内側を舌が支え、圧力の釣り合う場所に収まるとされます。
釣り合いを超えて動かした歯列は安定しにくく、保定装置は筋が慣れるまでの時間を稼ぎます。
- 歯の頭の位置は筋に、根の位置はあごの骨に左右される
- 舌を前に出す癖が続くと、前歯の開きが戻りやすい
- この説明は構造からの推論と、著者自身が明記
③どのくらいの人が戻るのか
6年で約21%
474人を6年追った研究では21.3%が後戻り。
1年目に終日つけた人は、大きく減っていました。

100人のうち、6年後に後戻りがあった人
後戻りがあった21人
安定していた79人
後戻りがあった安定していた
何が後戻りを減らしたか
- 1年目に終日つけた人は、大きく下がった(オッズ比0.07)
- 夜だけでも下がった(0.32)
- 合計2年以上でも下がった(0.35)
- 歯を抜いた治療は少ない傾向(0.44)
戻りやすい傾向があった人
- 口元が前に出た横顔
- あごが下に長く成長する型(ハイアングル)
安定を左右した最大の要因は、保定装置をつけたかどうかでした。
④固定式と取り外し式
違いは小さい
固定式と取り外し式があります。
安定の差は1mm未満で、どちらが優れるかは結論が出ていません。
固定式取り外し式
コクランのレビュー(47試験)では、安定の差は1mm未満で小さいとされました。確実性は低〜非常に低いです。
固定式と取り外し式の特徴
- つけ忘れが無い
- 下あごでは、最初の6か月と4年時点で安定しやすい
- 汚れ(歯垢)や歯石がつきやすく、歯石取りが大切
- 外れても気づきにくいため、通院で確かめる
- 外して歯みがきができ、歯ぐきの状態が良い
- 違和感を訴える人が多い
- つける時間を守れるかで結果が変わる
- 上あごでは固定式と同等
下の前歯は固定式のほうが安定し、上では同等とするレビューもあります。
歯並び・年齢・生活に合わせて選び、組み合わせることもあります。
⑤リテーナーはいつまでつけるか
上あごは2〜3年が一般的な目安です。
終える時期に一律の答えは無く、成長の終わりと親知らずの状態を確認し決めます。

保定装置は上下とも、一般に2〜3年が目安とされます。
成長が止まり、親知らずの状態を確認できた時期が、終える目安になります。
成長期に終えた方は、あごの成長が続く間は保定を続けることが多くなります。
保定の期間にすること
- 決められた時間、毎日つける(特に1年目)
- 1〜3か月に一度の確認の通院
- むし歯と歯周病のチェックとメンテナンス
- 舌とあごのトレーニングを続ける
壊れた・合わなくなった・何日かつけ忘れたときは、そのままにせず早めにご連絡ください。
Q&A
参考文献(6件)
- 中島榮一郎『歯列矯正 これなら安心』講談社 健康ライブラリー 7章 p.164-171:装置を外すことは治療の80〜90%、戻ろうとする力は外して3〜4か月が最大、上顎のリテーナーは2〜3年、保定の終了時期に一律の答えは無い、保定中の通院と習慣
- 三谷英夫『矯正治療のためのアトラス ── 咬合と顎顔面頭蓋のバイオメカニクス』p.17-22:歯列は頬筋・口輪筋と舌の圧力の均衡域に位置する、均衡域を超えた歯列は安定しない、歯冠は筋・歯根は骨に支配される、舌の癖(著者自身が生体構造からの推論と明記)
- Zhang X, Wang A, Zhang X, et al. Analysis of predictive factors for post-orthodontic stability: a retrospective cohort study. BMC Oral Health. 2026;26(1). doi:10.1186/s12903-026-08204-xPMID: 41904477
- Martin C, Littlewood SJ, Millett DT, et al. Retention procedures for stabilising tooth position after treatment with orthodontic braces. Cochrane Database Syst Rev. 2023;5(5):CD002283. doi:10.1002/14651858.CD002283.pub5PMID: 37219527
- Bellini-Pereira SA, Aliaga-Del Castillo A, Dos Santos CCO, Henriques JFC, Janson G, Normando D. Treatment stability with bonded versus vacuum-formed retainers: a systematic review of randomized clinical trials. Eur J Orthod. 2022;44(2):187-196. doi:10.1093/ejo/cjab073PMID: 34719722
- Basim A, Naoumova J, Leffler K, Johansson K, Persson M, Al-Taai N. Digital analysis of age-related dentoalveolar changes: a 50-year longitudinal study. Prog Orthod. 2026;27(1). doi:10.1186/s40510-026-00643-0PMID: 42726424

