①年齢の下限はあり、上限は数字では決まらない
若い方には「成長が終わるまで待つ」下限があります。
ご高齢の方に上限はなく、全身の状態とお手入れで判断します。

若い方:下限がある
成長期に入れると位置がずれることがあるため [1][2]、成長が終わってから始めると安心です。
ご高齢の方:上限はないが、見るものが変わる
年齢そのものは妨げにならないとされます [3]。安心して進めるために、次の点を一緒に確かめます。
- 持病やお薬の状態
- 傷の治りの速さ(個人差があります)
- 無理なく続けられるお手入れの方法
年齢の見方は、若い方とご高齢の方で違う
- 顎の骨の成長が終わるまで待つ
- 成長が終わったかどうかは、骨の検査などで確かめる
- 待つ間は入れ歯や接着ブリッジなどで仮に補う
- 年齢の上限はない
- 持病・お薬・治りやすさを医師と一緒に確かめる
- お手入れと通院を続けられるか、将来の介護まで考える
②何歳から?若い方は顎の成長が終わるまで待つ理由
インプラントは骨と一体で、顎が成長しても動きません。
周りの歯だけが伸びて段差ができるため、成長後に行います。

インプラントは、成長に合わせて動かない
成長期は周りの歯だけが動くため、インプラントが低い位置に残ることがあります。見た目や噛み合わせを守るため、時期を見極めて始めます [2]。
始めどきは、一人ひとりの成長で決めます
成長の終わりには個人差があり、20歳を過ぎても隣の歯が伸び続けた報告があります [1]。
年齢だけでなく、次の手がかりで丁寧に確かめます。
成長が終わったかを確かめる、主な手がかり
- 身長の伸び半年〜1年のあいだ、身長がほとんど変わっていないか。
- 骨年齢手首のX線写真で、骨の成熟度を見る方法です。
- 歯と顎のX線写真一定期間をあけて撮り比べ、歯や顎の位置が動いていないかを見ます。
- 顔の骨格のタイプ顔が長めの方・短めの方は、成人後も変化が続くことがあるため、より慎重に見ます[1]。
待っている間はどうするか
成長が終わるまでは、歯並びを守るために仮の歯で補います。
- 取り外しのできる入れ歯
- 隣の歯をほとんど削らない接着ブリッジ
- 場所・本数・噛み合わせで選ぶ
始める時期は個人差があるため、検査のうえで一緒に決めましょう。
③ご高齢の方:年齢そのものより、全身の状態を見ます
75歳以上の方の研究でも、5年後の生存率は96.1%と報告されています。
年齢より、持病・お薬・治りやすさを一緒に確かめます。

年齢そのものは、骨との結びつきを妨げない
「年だから骨とくっつかないのでは」と心配な方へ。年齢そのものは妨げにならないとされます [3]。
- 75歳以上の方:5年後の生存率96.1% [3]
- 研究の数字です
ご高齢の方のインプラント生存率(研究の数字)
大切なのは、年齢より今の状態
持病・お薬・お口の状態で判断します。年齢が気になる方も、まずはお気軽にご相談ください。
- 重い歯周病がある方・骨を増やした場所は、長持ちしにくい傾向があるため、お手入れを手厚くします [4]
- 放射線治療や、骨のお薬を高い量で使う方は、合併症が起きやすいため主治医と相談して丁寧に計画します [3]
「生存率」の数字の見方
生存率は、口の中に残っている割合です。よく噛める状態を長く保つには、周囲炎を防ぐお手入れが支えになります。
④年齢より大切な、4つの視点
持病とお薬、お手入れ、通院、将来の介護。
この4つを一緒に確かめてから決めます。

年齢の代わりに、一緒に確かめたいこと
- 持病とお薬糖尿病、心臓病、骨粗しょう症のお薬、血液をサラサラにするお薬など。主治医と連携して進めます。詳しくは「持病やお薬がある場合」の記事へ。
- お手入れを続けられるか毎日のホームケアでは、歯間ブラシなどの細かいお手入れも加わります。手や目の状態、ご家族の助けも含めて、続けやすい方法を考えます。
- 通院を続けられるか入れたあとは、1〜3か月ごとのメンテナンスで長く守ります。通いやすさも一緒に考えます。
- 将来、介護が必要になったときご自分でのお手入れが難しくなったとき、介護する方が清掃しやすい形かどうか。取り外せる形(オーバーデンチャー)を選ぶと安心な場合もあります。
お手入れと通院が、年齢とともに大切になる理由
メンテナンスの有無で、周囲炎の割合は5年で18%と44%と差がありました [6]。
年齢を重ねるほど、「続けやすさ」が長持ちにつながります。
老後・将来の介護まで考える、という視点
介護が必要になる原因の第1位は認知症です [7]。将来お手入れを手伝ってもらうときに清掃しやすい形か、入れる前に一緒に考えます。
- 固定式:介護する方には清掃が難しいことがある
- 取り外せるオーバーデンチャー:清掃しやすい場合がある
- 今の状態・ご希望・ご家族の状況で選ぶ
Q&A
参考文献(7件)
- Heij DG, Opdebeeck H, van Steenberghe D, Kokich VG, Belser U, Quirynen M. Facial development, continuous tooth eruption, and mesial drift as compromising factors for implant placement. Int J Oral Maxillofac Implants. 2006;21(6):867-78.PMID: 17190296
- Bohner L, Hanisch M, Kleinheinz J, Jung S. Dental implants in growing patients: a systematic review. Br J Oral Maxillofac Surg. 2019;57(5):397-406.PMID: 31076220
- Schimmel M, Srinivasan M, McKenna G, Müller F. Effect of advanced age and/or systemic medical conditions on dental implant survival: A systematic review and meta-analysis. Clin Oral Implants Res. 2018;29 Suppl 16:311-330.PMID: 30328186
- Compton SM, Clark D, Chan S, Kuc I, Wubie BA, Levin L. Dental Implants in the Elderly Population: A Long-Term Follow-up. Int J Oral Maxillofac Implants. 2017;32(1):164-170.PMID: 28095520
- Carra MC, Blanc-Sylvestre N, Courtet A, Bouchard P. Primordial and primary prevention of peri-implant diseases: A systematic review and meta-analysis. J Clin Periodontol. 2023;50 Suppl 26:77-112.PMID: 36807599
- Costa FO, Takenaka-Martinez S, Cota LO, Ferreira SD, Silva GL, Costa JE. Peri-implant disease in subjects with and without preventive maintenance: a 5-year follow-up. J Clin Periodontol. 2012;39(2):173-81.PMID: 22111654
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」IV 介護の状況(介護が必要となった主な原因)

