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インプラントの種類とメーカーの選び方

インプラントの形・埋入の方法・メーカーの違いと、納得して選ぶための基準をお伝えします。

①インプラントは3つの部品でできている

骨に埋入する「インプラント体」、土台の「アバットメント」、「かぶせる歯」の3つです。
違いは組み合わせ方です。

組み上がったインプラントと、かぶせる歯・土台・骨に埋入する根の3つの部品を横に並べて分けた分解図のイラスト
かぶせる歯・土台・骨に埋入する根の3つ

3つの部品の名前

  • インプラント体(フィクスチャー):骨に埋入するチタン製の歯根
  • 土台(アバットメント):つなぐ部品
  • かぶせる歯(上部構造):口の中に見える部分

部品ごとに、寿命が違う

インプラント体は長く働き、かぶせる歯は10〜15年で作り直すことが多いとされます。

種類の違いは、おもに4つ

  • つなぎ目の位置:ティッシュレベルとボーンレベル
  • 手術の回数:1回法と2回法
  • 材料と表面の処理
  • メーカー

②ティッシュレベルとボーンレベル
つなぎ目の位置の違い

ティッシュレベル型はつなぎ目が歯ぐきの高さでお手入れしやすく、ボーンレベル型は見た目を整えやすい主流の型です。

2種類のインプラント体を白い布の上に並べた立体のイラスト。片方は首の部分がなめらかに長く、もう片方は全体にねじ山がある
首の形が違う2つの型。成績に大きな差はない

つなぎ目を、どこに置くか

つなぎ目が歯ぐきの高さなら「ティッシュレベル型」、骨の近くなら「ボーンレベル型」です。

ボーンレベル型が現在の主流です。

ティッシュレベル型とボーンレベル型

ティッシュレベル型
  • つなぎ目が歯ぐきの高さにある
  • 汚れがたまりにくく、お手入れしやすいとされる
  • 歯ぐきの際に金属が見えることがある
  • 奥歯など、見た目より清掃性を優先したい場所に
ボーンレベル型
  • つなぎ目が骨の高さにある
  • 歯ぐきの形を整えやすく、見た目を重視する場所に
  • 現在の主流
  • つなぎ目の精度と、まわりのお手入れがより大切
研究の報告[1][2]をもとに作成。どちらが優れているかではなく、場所と目的で使い分けます。

研究では、成績に大きな差は出ていない

直接比べた試験のまとめでは、残存率も骨の変化も同じ水準でした[1]。

型より「つなぎ目の設計」が関わるかもしれない

5年を超える残存率はどの形でも96〜99%で、細い円すい形のつなぎ目で骨の減りが小さい傾向でした[2]。

型は場所・歯ぐきの厚み・見た目で選びます。どちらでも日々のお手入れが結果を左右します。

③1回法と2回法
手術の回数の違い

1回法は手術が1回、2回法は歯ぐきで覆って待ち、あとで頭を出します。

骨の中のインプラントのねじ山のまわりに、新しい骨の小さな粒が集まって結びついていく様子を表した断面のイラスト
骨と結びつくのを待つ期間が、上あごと下あごで違う

1回法:手術が1回ですむ

部品を歯ぐきの上に出したまま待ち、手術が1回ですみます。ティッシュレベル型は一般にこちらです。

2回法:歯ぐきで覆って待つ

数か月後に小さな手術で頭を出します。細菌にさらされないため、骨を増やす処置を伴う場合などに選ばれます。

1回法と2回法の違い

1回法2回法
手術の回数1回2回(2回目は小さな処置)
待っているあいだ部品の頭が歯ぐきの上に見えている歯ぐきで完全に覆われている
向いている場合骨の量と質が十分で、治療期間を短くしたい場合骨を増やす処置を伴う場合、感染のリスクを下げたい場合
気をつけること待っているあいだも、頭の部分のお手入れが要る2回目の手術と、そのぶんの期間が要る
どちらにするかは骨の状態で決まることが多く、ご希望だけでは選べない場合があります。

待つ期間は、上の顎と下の顎で違う

上の顎は、下の顎より長く待つ例が多く報告されています。

骨の量と質、感染の危険、骨を増やす処置の有無から、合う方法を選びます。条件が整わないまま1回法にすると、かえって結果を損なうことがあるためです。

④材料と表面
チタンが基本、ざらつきで骨とのなじみを助ける

骨と結びつくチタンが基本で、表面にざらつきをつけた製品が主流です。
ジルコニア製は長期の研究が少ない段階です。

チタン製と白いジルコニア製のインプラント体が並び、虫めがねの丸の中にチタンの表面の細かなざらつきが拡大されているイラスト
表面の細かなざらつきが、骨の細胞のつきやすさを助ける

チタンが基本

ほとんどがチタンまたはチタン合金で、骨と結びつく性質が長い使用で確かめられています。

ごくまれにアレルギー反応を起こす方がいます。心配な方は、事前にお知らせいただければ一緒に確かめます。

表面のざらつきは、骨とのなじみを助ける

骨の細胞がつきやすい、ざらついた表面が一般的です。炎症で露出すると汚れが落としにくくなるため、お手入れで炎症を防ぐことが大切です。

5年以上の残存率は平均97.3%で、表面による差はごく小さいとされます[3]。

金属を使わないジルコニア製は

白いセラミックのジルコニア製は、金属の色が透けにくい利点が期待されます。

  • 1年の時点ではチタンのほうが残存率が高い[4]
  • 長期の研究はまだ少ない[4]
  • 土台だけジルコニア:5年まで差はないが、破折することがある[5]

使う材料は、相談時に理由とともにご説明します。

⑤当院のインプラント
ストローマン(Straumann)を使う理由

当院では、スイスのストローマン社のインプラントを使っています。
10年におよぶ研究が積み重なり、部品の供給も安定しているためです。

ストローマンのインプラントとは

ストローマンのBLXインプラント3本。ねじ山の深い、骨に埋入する根の部分
当院で使っているストローマンのBLXインプラント(写真:ストローマン・ジャパン)

ストローマン(Straumann)は、スイスに本社を置くインプラントのメーカーです。骨に埋入する根の表面を細かくざらつかせる加工(SLA)、その表面を水になじみやすくした加工(SLActive)、チタンにジルコニウムを15%加えて強さを高めた材料(Roxolid)など、骨とのなじみと強さを高める工夫を重ねています[7]。

10年にわたる研究が積み重なっている

ストローマンの表面(SLA)のインプラントは、入れてから10年にわたって追いかけた研究が複数あります。

  • スイスの大学の研究(303人・511本):10年後に残っていたのは98.8%。インプラントが折れたものはなく、周囲炎が起きたのは1.8%でした[8]
  • オランダの研究(177人・374本):10年後に残っていたのは99.7%。骨の減りは平均0.52mmで、この研究の基準では7%に周囲炎がみられました[9]

どれも海外の研究の数字です。研究ごとに対象の方や判定の基準が違い、結果には個人差があります。

当院がストローマンを選んでいる理由

  • 長い期間の研究が多く、成績を確かめながら治療を計画できる
  • 世界で広く使われ、部品が手に入り続けやすい。転居先でも修理やメンテナンスの相談がしやすい
  • 骨の状態に合わせて選べる形や太さがそろっている

メーカーの名前より先に、確かめたいこと

  1. 検査と計画CTで骨の量・神経や血管の位置を確かめ、かぶせる歯の形から逆算して埋入する位置を決めているか。
  2. 埋入する技術計画どおりの位置・角度・深さに埋入できるか。骨を増やす処置が要る場合、その経験があるか。
  3. かぶせる歯の精度土台とかぶせる歯のつなぎ目がぴったり合っているか。合っていないと汚れがたまり、周囲炎の原因になります。
  4. 入れたあとの管理定期的な確認の仕組みがあり、何年先も同じ医院で診てもらえるか。
  5. 部品が手に入り続けるか転居や廃番のときにも修理できるよう、広く使われている製品か。どの製品を入れたかの記録を渡してもらえるか。
コクランレビュー[6]の趣旨をもとに作成。インプラントの成功は、これらの積み重ねで決まるとされています。

他院で入れたインプラントのご相談は、メーカーと製品名がわかると対応しやすくなります。「インプラントカード」などの記録を受け取っておきましょう。

参考文献(9件)
  1. Atieh MA, Shah M, Hakam A, et al. Peri-Implantitis and Survival Outcomes of Tissue Level Versus Bone Level Dental Implants: A Systematic Review and Meta-Analysis. Clin Exp Dent Res. 2025;11(5):e70242.PMID: 41099303
  2. Schoenbaum TR, Karateew ED, Schmidt A, et al. Implant-Abutment Connections and Their Effect on Implant Survival Rates and Changes in Marginal Bone Levels: A Systematic Review and Meta-Analysis of 45,347 Oral Implants. Int J Oral Maxillofac Implants. 2023;38(suppl):37-45.PMID: 37436948
  3. Doornewaard R, Christiaens V, De Bruyn H, et al. Long-Term Effect of Surface Roughness and Patients' Factors on Crestal Bone Loss at Dental Implants. A Systematic Review and Meta-Analysis. Clin Implant Dent Relat Res. 2017;19(2):372-399.PMID: 27860171
  4. Morena D, Leitão-Almeida B, Pereira M, et al. Comparative Clinical Behavior of Zirconia versus Titanium Dental Implants: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. J Clin Med. 2024;13(15):4488.PMID: 39124755
  5. Laleman I, Lambert F, Gahlert M, et al. The effect of different abutment materials on peri-implant tissues: A systematic review and meta-analysis. Clin Oral Implants Res. 2023;34 Suppl 26:125-142.PMID: 37750527
  6. Esposito M, Ardebili Y, Worthington HV. Interventions for replacing missing teeth: different types of dental implants. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(7):CD003815.PMID: 25048469
  7. Straumann Japan「Straumann® SLActive®」「Straumann® Roxolid®」(メーカーの製品情報。2026年10月閲覧)https://www.straumann.com/jp/ja/dental-professionals/dental-implants/dental-implant-materials.html
  8. Buser D, Janner SF, Wittneben JG, Brägger U, Ramseier CA, Salvi GE. 10-year survival and success rates of 511 titanium implants with a sandblasted and acid-etched surface: a retrospective study in 303 partially edentulous patients. Clin Implant Dent Relat Res. 2012;14(6):839-851.PMID: 22897683
  9. van Velzen FJ, Ofec R, Schulten EA, Ten Bruggenkate CM. 10-year survival rate and the incidence of peri-implant disease of 374 titanium dental implants with a SLA surface: a prospective cohort study in 177 fully and partially edentulous patients. Clin Oral Implants Res. 2015;26(10):1121-1128.PMID: 25370914
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