①タバコはインプラントにどう影響するか
血の巡り・骨とのつき方・細菌への抵抗力に不利に働き、失敗が増えることは研究で一致しています。
禁煙の計画から一緒に考えましょう。

骨と結びつく段階と、入れたあとの両方で影響が出やすいとされます。
影響の道筋は5つ
タバコが影響する5つの道筋
- 血管が縮み、酸素が届きにくくなる手術した場所の治りに必要な、血の巡りが落ちます。
- 骨とつくのが遅れる骨をつくる働きが抑えられ、インプラント体が骨と結びつくまでに時間がかかることがあります。
- 細菌への抵抗力が下がるインプラント周囲炎(インプラントのまわりの歯ぐきと骨の炎症)が起きやすく、進みやすくなります。
- 傷の治りが遅れる歯ぐきの傷が閉じにくく、感染のきっかけになることがあります。
- 唾液が減るお口の中が乾き、汚れ(歯垢)が残りやすくなります。
骨とつながる段階への影響
研究のまとめでは、喫煙者で6.35%、非喫煙者で3.18%が失われていました [1]。
インプラントが失われた割合(研究のまとめ)
骨の減りも多く、1日20本を超えると失敗の危険性が約2.5倍とする報告があります [2][3]。
入れたあと、長持ちするかへの影響
喫煙者は周囲炎になる危険性が約2倍と報告されています [4][5]。
タバコを吸っていても、受けられる道はあります [2]。まずはそのままご相談ください。
②いつから禁煙すればよいか
手術の少なくとも2か月前、できれば3か月以上前から。
手術のあとも、骨と結びつくまで続けることが大切です。

目安は「2〜3か月前」
禁煙から12週間ほどで、血管の働きのはっきりした改善が報告されています。手術の2か月前、できれば3か月以上前からが目安です。
禁煙してから、血管の働きが戻るまで
ただし心臓や血管の研究で [6][7]、インプラントの成績で確かめたものではありません。
手術のあとも続ける
骨と結びつくまで、下あごで2か月前後、上あごはそれ以上かかります。結びつきが確かめられるまで禁煙を続けると安心です。
やめられないのは、意志が弱いからではありません
ニコチンへの依存という病気の面があります。ご自分を責める必要はありません。
- 禁煙外来で、ニコチンを補う薬や飲み薬が使える
- 禁煙外来のご紹介は相談時にご説明
- 手術の日程は禁煙の進み具合に合わせる
禁煙の方法やお薬は、歯科医師・医師と相談しながら選ぶと安心です。持病やお薬がある方は、飲み合わせも一緒に確かめます。
③加熱式・電子タバコなら大丈夫か
ニコチンを含み、骨が減りやすいという報告があります。
紙巻きより有害物質は少ないとされますが、手術の前後は控えていただくのが基本です。

「紙巻きより小さいかもしれないが、吸わない方と同じではない」
ニコチンを含むため、血管や骨への影響は紙巻きと同じ道筋で起こりうるとされます。
電子タバコの研究でわかっていること
非喫煙者と比べた骨の減りは、紙巻きで平均1.34mm、電子タバコで0.52mmでした [8]。電子タバコの差ははっきりしないものの、骨が減る傾向がみられます [8]。
別のレビューでも、紙巻きと同じく危険因子になりうるとしています [9]。
加熱式タバコは、まだデータが足りない
たばこ葉を加熱するタイプは、データが足りないとされます [2][8]。
タバコの種類と、いまわかっていること
はっきりしている
- 紙巻きタバコは、失敗とインプラント周囲炎の危険性を上げる[1][2][4]
- 吸う本数が多いほど、危険性は高くなる[3]
疑われている
- 電子タバコでも、まわりの骨が減り、炎症が増える傾向がある[8][9]
- ニコチンによる血管収縮は、加熱式・電子でも同じ道筋で起こりうる
まだ足りない
- 加熱式タバコ(たばこ葉を加熱するタイプ)の、インプラントへの長期の影響[2][8]
「データが足りない」は「安全」とは違うため、手術の前後は控えると安心です。どうするかは、相談時に一緒に決めましょう。
Q&A
参考文献(10件)
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- Naseri R, Yaghini J, Feizi A. Levels of smoking and dental implants failure: A systematic review and meta-analysis. J Clin Periodontol. 2020;47(4):518-528.PMID: 31955453
- Reis INRD, do Amaral GCLS, Hassan MA, et al. The influence of smoking on the incidence of peri-implantitis: A systematic review and meta-analysis. Clin Oral Implants Res. 2023;34(6):543-554.PMID: 36939434
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- Guney Z, Altingoz SM, Has H, Serdar MA, Kurgan S. The impact of electronic cigarettes on peri-implant health: A systematic review and meta-analysis. J Dent. 2024;143:104883.PMID: 38360396
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