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インプラントで留める入れ歯

下の総入れ歯が浮く、動く、痛い。そんな方に、2本のインプラントで留める方法があります。わかっていることを、部位ごとにお伝えします。

①どんな入れ歯か
2本のインプラントに「留める」

2本のインプラントに、入れ歯の内側の留め具で固定します。
取り外して洗う点は従来と同じです。

下あごの断面:骨に埋まった2本のインプラントと、その上に少し浮かせた総入れ歯。入れ歯の内側に留め具
2本のインプラントに、入れ歯を留める

正式には「インプラントオーバーデンチャー」で、インプラントの上に入れ歯をかぶせて留めます。

取り外し式で、毎日外して洗い、寝るときは外します。

従来の総入れ歯と、インプラントで留める入れ歯

従来の総入れ歯
  • 歯ぐきと唾液の吸着だけで支える
  • 手術は無い
  • 下あごは骨がやせると浮きやすい
  • 保険が使える
インプラントで留める入れ歯
どちらも取り外し式です。留め具の形はボール型・磁石型・バー型などがあり、お口の状態で選びます。優劣ではありません。

固定式のインプラントとの違い

2023年の国際的な合意では、固定式でも取り外し式でも、満足度と噛む働きは大きく改善するとされています [7]。

取り外し式は本数が少なく、外して洗えます。固定式は手間がない代わりに、本数と費用が増えます。

②下あごの総入れ歯では「第一選択」

2002年の国際的な合意で、下あごの総入れ歯は2本で留める方法が標準になりました。

下の総入れ歯の断面2つ:従来の入れ歯は骨がやせると浮きやすく、2本のインプラントで留めた入れ歯は安定している
下あごの総入れ歯では、第一選択とされています

2002年のマギル合意は、歯が無い下あごには「2本のインプラントで留める入れ歯」を第一選択としました [1]。

下あごの総入れ歯は支えが小さく、舌に押されて動きやすいためです。

研究で、何がよくなったか

8研究のメタ解析では、2本で留めた入れ歯は従来の総入れ歯より、満足度が有意に高くなりました [2]。

2本のインプラントで留めた下の入れ歯(従来の総入れ歯と比べて)

よくなったと報告された項目

  • 総合的な満足度
  • 快適さ
  • 発音のしやすさ
  • 入れ歯の安定
  • 噛むこと

差が無かった・注意が要る項目

  • 見た目(差なし)
  • 清掃のしやすさ(やや悪くなった)
出典:Egido Moreno ら 2020(8研究)[2]。研究の数字です。感じ方には個人差があります。
  • 1本より2本のほうが、満足度は高い [7]
  • 3本以上に増やしても、満足度は上がらないとされる [7]

③上あごでは、差が示されていない

上あごでは、きちんと作った従来の入れ歯と、満足度に差が示されていません。

上あごの断面:口の天井の広い面に吸着する従来の総入れ歯
上あごは、従来の入れ歯でも吸着しやすい

上あごは、従来の入れ歯でも吸着しやすい場所です。2024年のレビューでは、満足度や生活の質に差は示されませんでした [4]。

研究は6つだけと少なく [4]、上あごは慎重に考えます。

  • 費用と手術の負担は、インプラントのほうが大きい [4]
  • 従来の入れ歯は、次の治療の診断の道具にもなる [4]
  • インプラントを希望する方では、満足度が高い傾向 [4]

上あごは、まず従来の入れ歯の作り直しで改善することがあります。インプラントは、そのうえで考えます。

④部分入れ歯にインプラントを足す方法

奥に歯が無い部分入れ歯を、インプラントで支える方法もあります。

奥に歯が無い部分入れ歯の側面:奥にインプラント1本を入れて入れ歯の後ろを支えている
部分入れ歯の奥を、インプラントで支える方法

奥に歯が無い部分入れ歯は、後ろが沈んで動きやすくなります。そこをインプラントで支えます。

13研究のまとめでは、満足度・噛む力・生活の質が有意に改善しました [5]。

留め具のゆるみなどの手直しは起きるため、定期的に確かめます [6]。

⑤受けられるかどうか

インプラントの手術は自費診療です。
手術が要るため、全身の状態・お薬・あごの骨の量を先に調べます。

相談室で、歯科医師がモニターのあごの骨の図を示し、70代の男性に手術の条件を説明している
あごの骨と全身の状態を、先に確かめます

インプラントの料金は、料金表のページでご覧いただけます。留め具と入れ歯本体を含めた総額は、治療計画のあとにお伝えします。

手術が要るため、全身の状態・お薬・あごの骨の量を調べます。

  • 持病やお薬がある方は、事前に歯科医師・医師にご相談ください
  • 骨が少ないと、骨を増やす処置が要ることも
  • 留め具はすり減り、数年ごとに交換や締め直し(目安)
  • 留め具の周りは、ていねいな清掃が要る [2]
参考文献(7件)
  1. Feine JS, Carlsson GE, Awad MA, et al. The McGill consensus statement on overdentures. Mandibular two-implant overdentures as first choice standard of care for edentulous patients. Int J Oral Maxillofac Implants. 2002;17(4):601-2.PMID: 12182304
  2. Egido Moreno S, Ayuso Montero R, Schemel Suárez M, Roca-Umbert JV, Izquierdo Gómez K, López López J. Evaluation of the quality of life and satisfaction in patients using complete dentures versus mandibular overdentures. Systematic review and meta-analysis. Clin Exp Dent Res. 2020;7(2):231-241.PMID: 33205918
  3. Sivaramakrishnan G, Sridharan K. Comparison of implant supported mandibular overdentures and conventional dentures on quality of life: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled studies. Aust Dent J. 2016;61(4):482-488.PMID: 26836981
  4. Michaud PL, Talmazov G, Dort H. Are patient-reported outcomes improved by implant-assisted maxillary prostheses compared to conventional maxillary dentures? A systematic review. J Dent. 2024;152:105490.PMID: 39613136
  5. Park JH, Lee JY, Shin SW, Kim HJ. Effect of conversion to implant-assisted removable partial denture in patients with mandibular Kennedy classification I: A systematic review and meta-analysis. Clin Oral Implants Res. 2020;31(4):360-373.PMID: 31945212
  6. Putra Wigianto AY, Goto T, Iwawaki Y, Ishida Y, Watanabe M, Ichikawa T. Treatment outcomes of implant-assisted removable partial denture with distal extension based on the Kennedy classification and attachment type: a systematic review. Int J Implant Dent. 2021;7(1):111.PMID: 34773513
  7. Schimmel M, Araujo M, Abou-Ayash S, et al. Group 4 ITI Consensus Report: Patient benefits following implant treatment in partially and fully edentulous patients. Clin Oral Implants Res. 2023;34 Suppl 26:257-265.PMID: 37750516
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