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バネの見えない入れ歯

笑うとバネが見えるのは、気になるものです。見えなくする方法と、向く場合・注意点をまとめました。

①バネを見えなくする4つの方法

やわらかい樹脂、白いバネ、二重冠、磁石の4つで、向く場合が違います。

庭先で、70代の女性と娘が少し離れた所から見た横顔で笑い合っている
笑ったときに見えるバネが、つらいこともあります

部分入れ歯は、残った歯にかけたバネで留まります。前歯にかかると、笑ったときに見えてしまいます。

バネを見えなくする4つの方法

  • やわらかい樹脂で、バネを無くすナイロン系などの樹脂の土台そのもので歯に留めます。薄く見た目がよく前歯に向きますが、奥歯には向かず、数年で劣化します。
  • 白いバネにする熱可塑性の樹脂でバネを作り、金属の枠と組み合わせます。学会は、見た目の理由で金属のバネを受け入れにくい方に勧めています。
  • 二重冠で留める残った歯に内側の冠をかぶせ、入れ歯側の外側の冠をはめます。歯を削る必要があります。
  • 磁石で留める残った歯の根に磁石を付けて留めます。根の治療と土台を整え、定期点検をしながら使います。
出典:日本補綴歯科学会のポジションペーパー [1][2]、部分入れ歯の臨床書 [3]。印は注意点が多い方法で、優劣の順位ではありません。

どの方法も自費で、料金は相談時にご説明します。

②ノンクラスプデンチャーのデメリット
前歯向きで、奥歯には向かない

前歯のバネが目立つ所なら、見た目をすっきり整えられます。
奥歯では土台がたわむため、ほかの方法をおすすめします。

やわらかい樹脂の入れ歯2つ:前歯の小さな入れ歯は留まり、奥歯の入れ歯は噛む力で土台がたわんでいる
前歯向き。奥歯には向きません
金属のバネが無い、ピンクの樹脂でできた部分入れ歯を、手に持った様子と口に入れた様子の3枚
バネの無い、やわらかい樹脂の入れ歯

やわらかい樹脂の土台は、噛む力(約40kg)でたわみ、奥歯では本来の噛み方ができないと臨床家は指摘しています [3]。

一方、噛む力がかからず、バネが目立つ前歯なら役立ちます [3]。

学会の見解

日本補綴歯科学会は、金属の枠が無いやわらかい型を、最終的な入れ歯として勧めていません(金属アレルギーなどを除く)[1]。

  • 金属の枠を入れた硬い型は、見た目で金属のバネを避けたい方に [1]
  • 設計の原則は、金属のバネと同じ [1]
  • 材料や経過の研究は、まだ十分でない [2]

メリット・デメリットと、向く場合・向かない場合

  • 向く:前歯のバネが目立つ方、金属アレルギーの方 [1][3]
  • 向く:本番までの仮の入れ歯
  • 向かない:奥歯でよく噛みたい方、上下とも入れ歯の方 [3]
  • 向かない:修理や裏打ちで長く使いたい方 [2]

噛めることを土台にして、そのうえで見た目を整えます。見た目だけを優先すると噛みにくくなり、トラブルのもとになるためです [3]。

③寿命は何年? 数年で劣化し、修理と裏打ちがしにくい

色が変わりやすく、破折しやすく、修理や裏打ちもしにくい材料です。
作る前にお伝えし、納得して選んでいただきます。

入れ歯の断面2つ:通常の樹脂はひびを足した材料で直せるが、やわらかい樹脂は直せずひびが残る
やわらかい樹脂は、修理と裏打ちがしにくい

この樹脂は、通常の入れ歯の樹脂より色が変わりやすく、破折しやすく、表面が粗くなりやすいとされます [2]。

数年で色が変わって硬くなり、特にバネの代わりの部分が折れやすくなります [3]。

直せるか、裏打ちできるか

  • 破折の修理や裏打ちがしにくい [2][3]
  • 製品ごとに性質の差が大きい [2]

あごの骨は無症状のままやせるため [4]、作り直しの時期が早まることがあります。点検で見極めます。

④白いバネと二重冠という選択肢

白いバネは、金属の枠と組み合わせる型が勧められます。
二重冠は、バネ式と生存率に差がありません。

白いバネの入れ歯と、二重冠の断面
白いバネと二重冠という選択肢

白いバネ

部分入れ歯を入れた奥歯の列2枚。バネが歯と同じ白い色で目立たない
白いバネの入れ歯

バネだけを白い樹脂で作り、金属の枠で支える型です。たわみにくく、学会も勧めている形です [1]。

材料が強いか・汚れにくいかは、研究がまだ十分ではありません [2]。

二重冠

残った歯を削って冠をかぶせ、入れ歯側の冠をはめて留めます。5年生存率は91.7%で、金属のバネと差はありませんでした [5]。

留める歯を失った割合(研究のまとめ)

金属のバネで留める

追跡5年以内5%
追跡5年超8%

二重冠で留める

追跡5年以内6%
出典:Oh ら、38研究の系統的レビュー [6]。統計的な差はなく、二重冠は追跡が長いほど失う割合が上がりました。当院の成績ではありません。

歯を削ること、作り直しが大がかりなことを知ったうえで選びます。残った歯が少ない方に向きます [5][6]。

参考文献(6件)
  1. Fueki K, Ohkubo C, Yatabe M, et al. Clinical application of removable partial dentures using thermoplastic resin-part I: definition and indication of non-metal clasp dentures. J Prosthodont Res. 2014;58(1):3-10.(日本補綴歯科学会のポジションペーパー。やわらかい型は最終義歯として勧めない、硬い型は審美的理由で勧める)PMID: 24461323
  2. Fueki K, Ohkubo C, Yatabe M, et al. Clinical application of removable partial dentures using thermoplastic resin. Part II: Material properties and clinical features of non-metal clasp dentures. J Prosthodont Res. 2014;58(2):71-84.(熱可塑性樹脂は色安定性が低く破折リスクが高く表面が粗くなりやすい。研究は不十分)PMID: 24746524
  3. 丹羽克味『部分床義歯の設計と咬合 ─インプラントより義歯で治す31提言─』学建書院, 2013年。提言25
  4. 日本補綴歯科学会『有床義歯補綴診療のガイドライン(2009 改訂版)』日補綴会誌 2009;1(2)。定期検診(顎堤の吸収と噛み合わせの変化は無症状のまま進む。Grade B)
  5. Drummond LB, Bezerra AP, Feldmann A, Gonçalves TMSV. Long-term assessment of the periodontal health of removable partial denture wearers: A systematic review and meta-analysis. J Prosthet Dent. 2024;134(5):1664-1685.PMID: 39043477
  6. Oh WS, Oh JY, May K. Loss of abutment teeth for double crown-retained removable partial dentures compared to clasp-retained removable partial dentures: a systematic review and meta-analysis. Quintessence Int. 2021;52(5):412-424.PMID: 33491387
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