①入れ歯の洗い方と頻度
ブラシと洗浄剤の両方
ブラシで機械的に汚れを落とし、夜は洗浄剤に浸します。
両方を組み合わせると、汚れがよく落ちます。

入れ歯の汚れは、口臭・むし歯・歯周病・粘膜の炎症の原因になります。ブラシと洗浄剤の両方を使うのが基本です [1]。
入れ歯の洗い方
- 食事のあとに外して、流水でブラシ洗い入れ歯用のブラシで、人工歯・バネ・歯ぐきに当たる内側を、すみずみまで洗います。
- 水を張った洗面器の上で洗う洗面器に水を張り、その上で洗います。手がすべっても割れにくく、安心です。
- 夜は外して、洗浄剤に浸す寝るあいだは入れ歯用の洗浄剤に浸します。ブラシで落とせない汚れを、薬で落とします。
- 歯ぐきと舌もみがくやわらかいブラシで、入れ歯の下の歯ぐきと舌もやさしくみがきます。残った歯はふつうに歯みがきを。
- 朝、着ける前にもう一度ブラシで洗浄剤に浸したあとは、流水でよくすすいでから着けます。
歯みがき粉と熱湯は避ける
- 入れ歯用の洗浄剤か水で洗う(歯みがき粉は細かい傷がつき、汚れやすくなる)
- 水かぬるま湯で洗う(熱湯や漂白剤は変形・変色のもと)
- 乾燥させず、水か洗浄剤に浸す [1]
いちばんよい洗い方は、まだ研究が進んでいるところです [3]。まずは「毎日ブラシで洗って、浸す」を続けると安心です。
②洗わないとどうなる? 汚れた入れ歯で起きること
入れ歯の下の粘膜に、炎症が起きやすくなります。
毎日のお手入れで減らせます。

入れ歯の下の歯ぐきが赤く腫れる「義歯性口内炎」は、米国の調査で入れ歯を使う人の27.9%にみられました [4]。
入れ歯の下の粘膜に炎症がある人(100人あたり)
炎症があった28人
炎症がなかった72人
炎症があった炎症がなかった
原因は、合わない入れ歯・着けっぱなし・カンジダ(カビの一種)・清掃不足です [5]。
汚れは、肺にも関わります
日本の85歳以上の研究では、着けたまま寝る人は肺炎のリスクが約2.3倍でした [6]。
寝るときは原則として外し、水か洗浄剤に浸します [1]。歯ぎしりなどで外さないほうがよい場合もあるため、歯科医師にご相談ください。
③入れ歯の寿命は何年?
あごの骨は無症状のままやせる
合わなくなるのは、あごの骨がやせるためです。
痛みが無いまま進むので、定期検診で早めに気づき、合わせ直します。

歯を失ったあごの骨は少しずつやせ、無症状のまま進みます。そのため定期検診が勧められています [1]。
合わないまま使うと、やせが進むことがあります。我慢せずに早めに調整すると安心です。
裏打ち(リライン)と作り直し
すき間ができたら、内側に材料を足す裏打ちで合わせ直します。追いつかなくなったら、作り直します。
どの入れ歯も、定期的な確認と手直しで長く使います [7]。
④部分入れ歯で、知っておきたい4つの変化
骨がやせる、奥歯が沈む、バネの歯が揺すられる、噛み合わせが変わる。
早めの手直しで備えます。

臨床書が挙げる、時間とともに起きていく4つの変化です(一人の臨床家の理論)。前もって知っておくと、早めに備えられます [7]。
- あごの骨がやせる
- 残った奥歯が沈む
- バネをかけた歯が傷む
- 噛み合わせが早く変わる
何年もつか
研究の数字
部分入れ歯の5年生存率は95.1%でした [8]。一方、842床を追った研究では10年で49.5%です [9]。
部分入れ歯が残っている割合(研究の数字)
失敗の95.6%は、バネをかけた歯を失ったためでした [9]。残った歯を守ることが、長持ちにつながります。
Q&A
参考文献(9件)
- 日本補綴歯科学会『有床義歯補綴診療のガイドライン(2009改訂版)』日本補綴歯科学会誌 1(2), 2009。患者指導(Grade A)、デンチャープラークコントロール(Grade B)、定期検診(Grade B)、p.14-15 の清掃法・夜間の扱い
- Schmutzler A, Rauch A, Nitschke I, Lethaus B, Hahnel S. Cleaning of removable dental prostheses - a systematic review. J Evid Based Dent Pract. 2021;21(4):101644.PMID: 34922732
- de Souza RF, de Freitas Oliveira Paranhos H, Lovato da Silva CH, Abu-Naba'a L, Fedorowicz Z, Gurgan CA. Interventions for cleaning dentures in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2009;(4):CD007395.PMID: 19821412
- Shulman JD, Rivera-Hidalgo F, Beach MM. Risk factors associated with denture stomatitis in the United States. J Oral Pathol Med. 2005;34(6):340-6.PMID: 15946181
- Perić M, Miličić B, Kuzmanović Pfićer J, Živković R, Arsić Arsenijević V. A systematic review of denture stomatitis: predisposing factors, clinical features, etiology, and global Candida spp. distribution. J Fungi (Basel). 2024;10(5):328.PMID: 38786683
- Iinuma T, Arai Y, Abe Y, et al. Denture wearing during sleep doubles the risk of pneumonia in the very elderly. J Dent Res. 2015;94(3 Suppl):28S-36S.PMID: 25294364
- 丹羽克味『部分床義歯の設計と咬合 ─インプラントより義歯で治す31提言─』学建書院, 2013年。「部分床義歯の装着に伴い発生する現象」、提言23・28・30・31
- Drummond LB, Bezerra AP, Feldmann A, Gonçalves TMSV. Long-term assessment of the periodontal health of removable partial denture wearers: A systematic review and meta-analysis. J Prosthet Dent. 2024;134(5):1664-1685.PMID: 39043477
- Brandt S, Winter A, Lauer HC, Romanos G. Retrospective clinical study of 842 clasp-retained removable partial dentures with a metal framework: survival, maintenance needs, and biologic findings. Quintessence Int. 2024;55(9):704-711.PMID: 38985439

