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秋の食卓を囲む三世代の家族

入れ歯ができるまでの流れと、慣れるまで

作る順番、通う回数、慣れるまでの期間を、学会のガイドラインをもとに先にお伝えします。

①検査から定期検診まで
8つの段階

検査から定期検診まで8段階です。
通院回数はお口の状態で変わります。

入れ歯ができるまでの7つの段階のアイコン:検査、前処置、型取り、噛み合わせ、仮合わせ、完成と調整、定期検診
検査から定期検診まで、7つの段階

型取りの前に検査と前処置があり、完成のあとも調整と検診が続きます [1]。

入れ歯ができるまでの道のり

  1. 検査全身の状態、お口の中、今の入れ歯、模型、レントゲン、あごの動きを調べます。
  2. 前処置必要な場合だけ。骨の出っ張りや残った根の処置、粘膜の調整、治療用の入れ歯。
  3. 型取りお口に合わせた専用のトレーで、噛んだり話したりするときの形まで写し取ります。
  4. 噛み合わせの位置決め上下のあごの関係と高さを決めます。入れ歯の使い心地を左右する大切な段階です。
  5. 仮合わせろうの土台に歯を並べた状態で、見た目・発音・噛み合わせを確かめます。
  6. 完成着け外しと洗い方、食べ方、夜の扱いをお伝えします。
  7. 調整できあがってからが本番。痛いところ、当たるところを少しずつ直します。
  8. 定期検診あごの骨は無症状のままやせるので、合わなくなる前に診ます。
出典:日本補綴歯科学会のガイドライン(2009)[1]。前処置の有無や通院回数は、お口の状態で変わります。

何回通うか、何日でできるか

回数と日数は、入れ歯の種類と前処置の有無で変わります [1]。目安は相談時にお伝えします。

  • 前処置が無ければ、型取りから完成まで数回
  • 治療用の入れ歯が入ると、その分長くなる [1]
  • 完成後の調整は、落ち着くまで何度か [1]

②型取りと噛み合わせで、何をするか

型は2段階で取り、噛み合わせの位置と高さを決めます。
仮合わせは、歯の色や並びを変えられる大切な段階です。

相談室で、歯科医師がろうの土台に歯を並べた仮合わせの模型を70代の女性と娘に見せている
仮合わせは、やり直しがきく最後の段階

型取りは2段階

最初の型からお口専用のトレーを作り、2回目は頬や舌を動かしたときの形まで写します [1]。

噛み合わせの位置決め

歯が無いと、あごの位置の手がかりが失われます。あごの動きの記録などから、位置と高さを決めます [1]。

仮合わせで確かめること

人工の歯を並べた状態で、見た目・発音・噛み合わせを確かめます。歯の色や並びを自由に変えられる段階です。

  • 歯の色・形・並びは、ここで変えられる
  • ご家族と一緒にお越しいただけます
  • 大きな変更は、この段階で済ませておくと安心

③慣れるまでの期間と、慣れる方法
数か月

唾液の増加は1〜3週間、発音のしにくさや異物感は数か月で減ります。

新しい入れ歯に慣れるまでの時間の帯:最初は違和感の点が多く、来院の印を経て右へ行くほど減っていく
違和感は、数か月で減っていきます

慣れる期間が必要なことは、学会ガイドラインの最も強い推奨(グレード A)です。調整で早まります [1]。

新しい入れ歯に慣れるまで

完成異物感、唾液が増える、発音しにくい
1〜3週唾液の増加が落ち着く
数か月発音のしにくさ・異物感が徐々に消える
定期検診慣れたあとも、骨の変化に合わせて調整
出典:日本補綴歯科学会ガイドライン(2009)[1]。一般的な目安で、入れ歯の種類・残った歯の数・年齢で変わります。

慣れるまでの違和感は昔からのもので、江戸時代の杉田玄白も書き残しています [3]。

慣れるまでの過ごし方

  • 圧迫感があれば、ときどき外して休ませる [1]
  • 痛いときは外し、来院日の朝から着けて調整を受ける [1]
  • 部分入れ歯は、日中は着けておく(長く外すと残った歯が動く)[1]
  • 痛みは我慢せず、予約を待たずにご連絡を

④食べ方と着け外しのコツ

最初は食べやすいものを小さくして、両側で噛みます。

明るい食卓で、70代の女性が娘と一緒に食事をしている
歯を失ったあとの、いちばん身近な方法

食べ方

  • 最初は食べやすいものを、小さく切って [1]
  • 左右の両側で、同じように噛む [1]
  • 総入れ歯は奥歯で噛むと安定する(前歯で噛み切ると外れやすく、骨もやせやすい)[1]
  • 小さくて硬いものは、慣れてから

部分入れ歯で噛む側は、設計と合わせてご相談ください [2]。

着け外し

  • 着けるときは、少し湿らせて [1]
  • 総入れ歯は、前を押して吸着を破ってから外す [1]
  • 部分入れ歯は指で最後まで入れる(噛んで入れるより、歯とバネにやさしい)[1]
  • 寝るときは原則外し、水の中で保管 [1]

⑤抜歯後、いつから入れ歯を作れるか

骨と歯ぐきが落ち着いてから型を取るのが基本です。
骨は抜歯後3〜6か月で大きく変わります。

抜歯から6か月で、骨の幅は29〜63%減っていました(20研究のレビュー)[4]。

早く作った入れ歯はこの変化でゆるみやすいため、裏打ちで合わせ直します [4]。

歯が無い期間を短くする方法

  • 抜歯した日に、仮の入れ歯を入れる(即時義歯)
  • 落ち着いたら、裏打ちか本番の入れ歯を
  • 今の部分入れ歯に、歯を足せる場合も
  • 合う方法は、抜く歯の数と場所で変わる
参考文献(4件)
  1. 日本補綴歯科学会『有床義歯補綴診療のガイドライン(2009 改訂版)』日本補綴歯科学会誌 1(2), 2009。工程(検査→前処置→印象→顎間関係の記録→試適→装着→調整→定期検診)、順応期間(A)、義歯調整(B)、治療用義歯(B)、患者指導(A)。p.14-15 の順応の説明(発音・異物感は数か月、唾液は 1〜3 週)、食べ方、着脱、夜の扱い
  2. 丹羽克味『部分床義歯の設計と咬合 ─インプラントより義歯で治す31提言─』学建書院, 2013年。原則3、提言20
  3. 長谷川正康『歯科の歴史おもしろ読本』クインテッセンス出版, 1992年。4章「総義歯のルーツは日本にあり」p.141-142
  4. Tan WL, Wong TLT, Wong MCM, Lang NP. A systematic review of post-extractional alveolar hard and soft tissue dimensional changes in humans. Clin Oral Implants Res. 2012;23 Suppl 5:1-21. doi:10.1111/j.1600-0501.2011.02375.x(20研究。抜歯後6か月で骨の幅29〜63%・高さ11〜22%の減少、最初の3〜6か月に大きく減る)PMID: 22211303
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