①検査から定期検診まで
8つの段階
検査から定期検診まで8段階です。
通院回数はお口の状態で変わります。

型取りの前に検査と前処置があり、完成のあとも調整と検診が続きます [1]。
入れ歯ができるまでの道のり
- 検査全身の状態、お口の中、今の入れ歯、模型、レントゲン、あごの動きを調べます。
- 前処置必要な場合だけ。骨の出っ張りや残った根の処置、粘膜の調整、治療用の入れ歯。
- 型取りお口に合わせた専用のトレーで、噛んだり話したりするときの形まで写し取ります。
- 噛み合わせの位置決め上下のあごの関係と高さを決めます。入れ歯の使い心地を左右する大切な段階です。
- 仮合わせろうの土台に歯を並べた状態で、見た目・発音・噛み合わせを確かめます。
- 完成着け外しと洗い方、食べ方、夜の扱いをお伝えします。
- 調整できあがってからが本番。痛いところ、当たるところを少しずつ直します。
- 定期検診あごの骨は無症状のままやせるので、合わなくなる前に診ます。
何回通うか、何日でできるか
②型取りと噛み合わせで、何をするか
型は2段階で取り、噛み合わせの位置と高さを決めます。
仮合わせは、歯の色や並びを変えられる大切な段階です。

型取りは2段階
最初の型からお口専用のトレーを作り、2回目は頬や舌を動かしたときの形まで写します [1]。
噛み合わせの位置決め
歯が無いと、あごの位置の手がかりが失われます。あごの動きの記録などから、位置と高さを決めます [1]。
- ずれると、何度作っても合わない原因に [1]
- 高さは少しずつ上げる [2]
- 必要なら、先に治療用の入れ歯で整える [1]
仮合わせで確かめること
人工の歯を並べた状態で、見た目・発音・噛み合わせを確かめます。歯の色や並びを自由に変えられる段階です。
- 歯の色・形・並びは、ここで変えられる
- ご家族と一緒にお越しいただけます
- 大きな変更は、この段階で済ませておくと安心
③慣れるまでの期間と、慣れる方法
数か月
唾液の増加は1〜3週間、発音のしにくさや異物感は数か月で減ります。

慣れる期間が必要なことは、学会ガイドラインの最も強い推奨(グレード A)です。調整で早まります [1]。
新しい入れ歯に慣れるまで
完成異物感、唾液が増える、発音しにくい
1〜3週唾液の増加が落ち着く
数か月発音のしにくさ・異物感が徐々に消える
定期検診慣れたあとも、骨の変化に合わせて調整
慣れるまでの違和感は昔からのもので、江戸時代の杉田玄白も書き残しています [3]。
慣れるまでの過ごし方
④食べ方と着け外しのコツ
最初は食べやすいものを小さくして、両側で噛みます。

食べ方
部分入れ歯で噛む側は、設計と合わせてご相談ください [2]。
着け外し
⑤抜歯後、いつから入れ歯を作れるか
骨と歯ぐきが落ち着いてから型を取るのが基本です。
骨は抜歯後3〜6か月で大きく変わります。
抜歯から6か月で、骨の幅は29〜63%減っていました(20研究のレビュー)[4]。
早く作った入れ歯はこの変化でゆるみやすいため、裏打ちで合わせ直します [4]。
歯が無い期間を短くする方法
- 抜歯した日に、仮の入れ歯を入れる(即時義歯)
- 落ち着いたら、裏打ちか本番の入れ歯を
- 今の部分入れ歯に、歯を足せる場合も
- 合う方法は、抜く歯の数と場所で変わる
Q&A
参考文献(4件)
- 日本補綴歯科学会『有床義歯補綴診療のガイドライン(2009 改訂版)』日本補綴歯科学会誌 1(2), 2009。工程(検査→前処置→印象→顎間関係の記録→試適→装着→調整→定期検診)、順応期間(A)、義歯調整(B)、治療用義歯(B)、患者指導(A)。p.14-15 の順応の説明(発音・異物感は数か月、唾液は 1〜3 週)、食べ方、着脱、夜の扱い
- 丹羽克味『部分床義歯の設計と咬合 ─インプラントより義歯で治す31提言─』学建書院, 2013年。原則3、提言20
- 長谷川正康『歯科の歴史おもしろ読本』クインテッセンス出版, 1992年。4章「総義歯のルーツは日本にあり」p.141-142
- Tan WL, Wong TLT, Wong MCM, Lang NP. A systematic review of post-extractional alveolar hard and soft tissue dimensional changes in humans. Clin Oral Implants Res. 2012;23 Suppl 5:1-21. doi:10.1111/j.1600-0501.2011.02375.x(20研究。抜歯後6か月で骨の幅29〜63%・高さ11〜22%の減少、最初の3〜6か月に大きく減る)PMID: 22211303

