①入れ歯は、作ったあとの調整で合わせていくもの
使ってみて当たる所を、数回かけて調整します。
削るのは歯科医院にお任せください。

調整は、新しい入れ歯への慣れを早める、作る工程の一部です [1]。
削るのは、歯科医院にお任せください。ご自分で削るとゆるみや亀裂につながるため、そのままお持ちいただくのがいちばんです。
入れ歯が痛いときの対処
来院までにすること
入れ歯が痛いときの進め方
- 削らずに、そのままお持ちくださいヤスリや爪切りで削ると、調整で直せる範囲を超えることがあります。そのままなら、細かく合わせ直せます。
- 痛いときは、外して休ませる粘膜の傷を休ませます。部分入れ歯は長く外すと残った歯が動くので、数日以内にお越しいただくと安心です。
- 来院日の朝から着ける当たっている跡が粘膜に残り、どこを削ればよいかが分かります。
- 当たる場所と、いつ痛むかを伝える噛んだとき、話すとき、着け外しのとき。場面で原因が変わります。
- 数回に分けて合わせる削った所は戻せないため、少しずつ、様子を見ながら調整します。
着け外しの仕方も、痛みに関わります
②入れ歯が痛い原因は、当たりだけではない
当たりのほか、噛み合わせ、骨の変化や出っ張り、粘膜の炎症があり、直し方が違います。

噛み合わせの横揺れ
斜面で噛むと入れ歯が横に揺すられ、歯ぐきを傷めます。噛む面を平らに整えると、その力は20kgから2kg以下に減るという計算があります [2]。
これは臨床家の計算で、対照試験の数字ではありません。
骨の出っ張りと、粘膜の炎症
調整で改善しない骨の出っ張りやぶよぶよの歯ぐきは、外科的に整えることがあります [1]。
入れ歯の下の粘膜に炎症があった人(100人あたり)
炎症があった28人
なかった72人
炎症があったなかった
入れ歯の下の粘膜の炎症(義歯性口内炎)は、合わない入れ歯と着けっぱなしが主な原因とされます [4]。
赤く腫れて痛むときは、削るより先に、お手入れと夜に外す習慣を一緒に見直します。
ひびや破折、バネのゆるみも痛みの原因です。市販の接着剤は使わず、そのままお持ちいただくと修理しやすくなります。
③入れ歯が外れる・取れやすいとき
裏打ちの目安
あごの骨は症状なく少しずつやせ、すき間ができます。
裏打ちで早めに合わせ直せます。

入れ歯の下のあごの骨は、無症状のままやせていきます [1]。合っていた入れ歯も、少しずつゆるみます。
合わないまま使うと、やせが進みうるとされます。裏打ち(内面に樹脂を足す処置)で早めに合わせます。
裏打ちの目安
数字は臨床家の経験による目安です [2]。裏打ちで追いつかないときは、作り直しを考えます [1]。
ゆるみは気づく前に始まるため、痛みが無くても定期的な点検で確かめます [1]。
④入れ歯安定剤の使いどころ
安定剤は保持力と噛む力を上げます。
合わないときは先に調整で整えると、より上手に使えます。

39研究のレビューでは、安定剤は総入れ歯の保持力をはっきり上げ、噛む力も改善しました [5]。
安定剤の、よい使い方と注意
- 少量を数か所に少量で十分に働きます。はみ出すときは、量を減らす合図です。
- 毎晩、入れ歯と歯ぐきから落とすやわらかいブラシで落とすと、清潔に保てます。残ると、汚れがたまる原因になります。
- 量や回数が増えてきた入れ歯がゆるんでいる合図です。裏打ちや調整の時期かもしれません。
- 痛むときは、安定剤より調整を安定剤では当たる場所は変わらないので、調整で直します。
安定剤は、調整した入れ歯をさらに安定させるものです。合わないときは、まず調整を。
クリームか粉かは、入れ歯の形やお口の乾き方で変わります [6]。使う前にご相談ください。
Q&A
参考文献(6件)
- 日本補綴歯科学会『有床義歯補綴診療のガイドライン(2009 改訂版)』日補綴会誌 2009;1(2)。義歯調整(Grade B)、順応期間(Grade A)、患者指導(痛ければ外しておいて来院日の朝から着ける、部分入れ歯を長く外すと残存歯が動く、前歯で噛み切らない)、定期検診(顎堤の吸収は無症状のまま進む。Grade B)、外科処置(Grade B)
- 丹羽克味『部分床義歯の設計と咬合 ─インプラントより義歯で治す31提言─』学建書院, 2013年。提言9・30・31
- Shulman JD, Rivera-Hidalgo F, Beach MM. Risk factors associated with denture stomatitis in the United States. J Oral Pathol Med. 2005;34(6):340-6.PMID: 15946181
- Perić M, Miličić B, Kuzmanović Pfićer J, Živković R, Arsić Arsenijević V. A Systematic Review of Denture Stomatitis: Predisposing Factors, Clinical Features, Etiology, and Global Candida spp. Distribution. J Fungi (Basel). 2024;10(5):328.PMID: 38786683
- Shu X, Fan Y, Lo ECM, Leung KCM. A systematic review and meta-analysis to evaluate the efficacy of denture adhesives. J Dent. 2021;108:103638.PMID: 33727079
- Giok KC, Veettil SK, Menon RK. Comparative effectiveness of types of denture adhesives in enhancing retention and function of complete dentures: a systematic review with network meta-analysis. Clin Oral Investig. 2024;28(1):78.PMID: 38183500

