①フロスと歯間ブラシ、どちらを使うか
入るなら歯間ブラシ、入らないならフロスが基本です。
どちらも歯ブラシだけより、歯ぐきの炎症を減らすとされます。

結論は「入るなら歯間ブラシ、入らないならフロス」
35研究のまとめでは、歯間ブラシのほうがフロスより炎症を減らす可能性があるとされます [1][2]。ただし証拠の確かさは低く、差は小さいかもしれません [1]。
フロスと歯間ブラシの違い
使い分けの基本
ヨーロッパ歯周病学会は、歯間ブラシを第一の選択とし、通らない場所にフロスを勧めています [3]。
- 歯がぴったり接した前歯や、若い方:フロス
- すき間が開いた所や、奥歯:歯間ブラシ
- 同じお口でも、場所で使い分ける
②歯ブラシに加える効果と、使っている人の割合
歯ブラシだけでは歯と歯の間が残りますが、道具を加えると炎症が減ります。
使っている人は40〜50代で半数ほどです。

歯ブラシの毛先は届かない
歯と歯の間の側面には、歯ブラシの毛先が届きません。むし歯も歯周病もここから始まることが多い場所です。
ただ研究の多くは1〜3か月と短く、歯周病そのものを防ぐかは確かめられていません [1]。歯科での検査と組み合わせます。
歯と歯の間を掃除する道具を使っている人の割合(日本)
使っている人は、まだ半数
日本で歯間の道具を使う人は、35〜44歳で55.4%でした(2009年)[4]。今から始めても遅くありません。
炎症のある方には1日1回が勧められています [3]。まずは週に数回からで構いません。
③サイズの選び方と使い方
すき間に抵抗なく入るなかで、いちばん大きいサイズを選びます。
無理に押し込まず、1日1回、寝る前が目安です。

「抵抗なく入る、いちばん大きいもの」
歯間ブラシは、抵抗なく入るなかでいちばん大きいサイズを選びます。小さ過ぎると当たらず、大き過ぎると歯ぐきを傷めます [3]。
フロスと歯間ブラシの使い方の要点
- 小さいサイズから試す歯間ブラシは、まず細いもので入るかを確かめ、ゆるければ一段階大きくします。前歯と奥歯でサイズが違うのがふつうです
- 無理に押し込まない力で入れると歯ぐきを傷めるため、入らない場所はフロスに切り替えます [3]
- フロスは歯の面に沿わせる糸を歯の側面に巻きつけるように沿わせ、上下に動かします。歯ぐきに勢いよく当てると傷つきます
- 1日1回、寝る前に寝ている間は唾液が減り、細菌が増えやすくなります。1日1回なら、寝る前が向いています [3]
- 歯間ブラシは毛が乱れたら交換針金が曲がったり毛が乱れたりしたら交換します。曲げて使い続けると、針金が折れることがあります
- 合うサイズは一緒に決めるどの場所にどのサイズが合うかは、お口を見ないと分かりません。メンテナンスのときにご一緒に決めます
フロスは、続けやすい形で
糸巻き型と持ち手つきに明確な優劣はなく、続けやすいほうで構いません。勢いよく当てず、少しずつ横に動かして入れます。
④血が出たときの考え方
出血の多くは、歯ぐきに炎症があるサインです。
やさしく続けると減ることが多いので、2週間続くときにご相談ください。

血が出るのは、炎症があるから
出血の多くは、道具で傷ついたのではなく、もともとある炎症に触れたためです。健康な歯ぐきは、ほとんど血が出ません。
続けると出血は減っていくことが多いとされます [5][6]。血が出ても「やめる」のではなく、「やさしく続ける」が基本です。
受診の目安
次の場合は、歯周病が進んでいる可能性があります。自己判断で続けず、ご相談ください。
- 2週間ほどたっても出血が減らない
- 特定の場所だけ、毎回たくさん血が出る
- 歯ぐきの腫れ、膿、においがある
- 歯がぐらぐらする、歯間ブラシのサイズが急に大きくなった
- 血液をさらさらにするお薬を飲んでいる、血が止まりにくい持病がある
血液をさらさらにするお薬(抗血栓薬)を飲んでいる方は、自己判断でやめたり始めたりせず、歯科医師と処方している医師にご相談ください。
⑤ご自分の歯とインプラントでは、少し違います
インプラントの周りでは、フロスの繊維が絡んで炎症の原因になった報告があるため、歯間ブラシが向くとされます。

フロスの繊維が残っていた報告
炎症が治らないインプラントを調べた報告では、全員にフロスの繊維の残りがあり、取り除くと10人中9人で改善しました [7]。
歯間ブラシや水で洗う器具のほうが、フロスより炎症を下げたというレビューもあります [8]。歯ぐきがしっかり覆っていれば、問題にならないことも多いとされます [7]。
詳しくは「長持ちさせるには」の記事へ。
Q&A
参考文献(9件)
- Worthington HV, MacDonald L, Poklepovic Pericic T, et al. Home use of interdental cleaning devices, in addition to toothbrushing, for preventing and controlling periodontal diseases and dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;4(4):CD012018.PMID: 30968949
- Kotsakis GA, Lian Q, Ioannou AL, Michalowicz BS, John MT, Chu H. A network meta-analysis of interproximal oral hygiene methods in the reduction of clinical indices of inflammation. J Periodontol. 2018;89(5):558-570.PMID: 29520910
- Chapple ILC, Van der Weijden F, Doerfer C, et al. Primary prevention of periodontitis: managing gingivitis. J Clin Periodontol. 2015;42 Suppl 16:S71-6.PMID: 25639826
- 内藤徹ほか『知ってて得した!歯周治療に活かせるエビデンス』クインテッセンス出版(Quint Study Club) PART③ セルフケア(歯間部清掃用器具の使用率。平成21年 国民健康・栄養調査:35〜44歳 55.4%/45〜54歳 54.5%。平成5年は 19.3%/17.8%)
- Löe H, Theilade E, Jensen SB. Experimental gingivitis in man. J Periodontol. 1965;36:177-87.PMID: 14296927
- 内藤徹ほか『知ってて得した!歯周治療に活かせるエビデンス』クインテッセンス出版(Quint Study Club) PART① 病因(Löe 1965 の要点:口腔清掃を止めると10〜20日で全員に歯肉炎、再開すると10日以内に消失)
- van Velzen FJJ, Lang NP, Schulten EAJM, ten Bruggenkate CM. Dental floss as a possible risk for the development of peri-implant disease: an observational study of 10 cases. Clin Oral Implants Res. 2016;27(5):618-21.PMID: 26261052
- Eagle IT, Theis-Mahon N, Arnett MC. Best oral self-care practices for peri-implant conditions and diseases: a systematic review. Front Oral Health. 2025;6:1657025.PMID: 41487703
- Mazhari F, Boskabady M, Moeintaghavi A, Habibi A. The effect of toothbrushing and flossing sequence on interdental plaque reduction and fluoride retention: A randomized controlled clinical trial. J Periodontol. 2018;89(7):824-832.PMID: 29741239

