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予防歯科 Q&A

歯ぐきのこと、歯石取りやクリーニングのこと、毎日のお手入れのこと。よくいただく質問に、出典を添えてお答えします。

①歯周病について

歯周病は、炎症だけの段階なら戻り、骨が減っても進行を抑えられます。
出血の有無だけでは判断できないため、歯科で確かめます。

「歯槽膿漏」と歯周病は違うものですか

ほぼ同じものです。歯周病が進んで歯ぐきから膿が出る状態を指した昔の呼び名で、今は「歯周病(歯周炎)」と呼びます。

歯周病は何歳から増えますか? 何人に1人ですか?

4mm以上の歯周ポケットがある人は、25〜34歳で32.7%、45〜54歳で43.7%でした(令和4年の国の調査)[1]。若い方にもあるので、年齢を問わず確かめると安心です。

歯周ポケットは何ミリから歯周病ですか?

健康な溝は1〜3mmほどで、国の調査では4mm以上を「歯周ポケットあり」と数えます [2][3]。深さだけでなく、出血や骨の量も合わせて判断します。

歯周病や歯槽膿漏は何科に行けばよいですか?

歯科です。歯ぐきの腫れや出血が続くときも、まず歯科へご相談ください。

歯周病は治りますか

炎症だけの段階ならみがき方と歯石取りで戻ります[4]。骨が減った歯周病も、進行を抑えられます。骨は元に戻らないため、通い続けて今の状態を保ちます[5]。

歯ぐきから血が出ないので、歯周病ではないですよね

出血が無くても、それだけでは判断できません。タバコを吸う方は、進んでいても出血しにくいためです[6]。溝の深さとレントゲンで確かめます。

歯ぐきから血が出るときは、どうすればよいですか

多くは汚れによる炎症で、やさしくみがき続けると減ることが多いです。2週間続く、腫れや膿がある、歯がぐらつくときは歯科へご相談ください。

②歯石取りとクリーニング

歯石は歯ブラシでは落とせないため、歯科で取り除きます。
痛むときは麻酔を使い、保険か自費かは処置の内容で分かれます。

歯石を取らないと、どうなりますか

歯石の表面には細菌の膜が付き、歯ブラシでは落とせなくなります。炎症は痛みなく骨へ進むため、歯科で取り除きます[7]。

歯石取りは痛いですか。時間はどのくらいかかりますか

溝の奥を取るときは痛むことがあるため、必要に応じて麻酔をします。1回30分〜1時間ほどで、数回に分けるのが一般的です。

歯石取りやクリーニングは保険がききますか

検査・歯石取り・SPTは症状に応じて健康保険、PMTCは自費で、料金は料金表のページでご覧いただけます。

クリーニングのあと、すぐに食事をしてよいですか?

多くはすぐに食事ができます。フッ素を塗った場合などの注意は、その日の処置に合わせてご説明します。

クリーニングとホワイトニングの違いは何ですか?

クリーニングは汚れや着色を落とし、歯本来の色に近づけます。歯そのものの色を明るくするのは、別の処置のホワイトニングです。

歯石取りのあと、歯のすき間が広がった気がします。

歯石がすき間を埋めていた場合や、歯ぐきが引き締まった場合に、すき間が目立つことがあります。気になるときは、次の来院時にお伝えください。

自分で歯石を取ってもよいですか?

おすすめしません。市販の器具で歯ぐきや歯を傷つけるおそれがあり、溝の奥の歯石は見えないため取れません。

③通い続けることと、体の状態

治療のあとも、細菌は数か月で元に近づくため、数か月ごとに通います。
妊娠中や糖尿病の方も受けられます。

治療が終わったのに、なぜ通う必要があるのですか

みがかなければ4日で細菌の膜が戻り[8]、溝の奥の細菌も数か月で元に近づきます[5]。痛みなく進むため、数か月ごとの検査で再発に早く気づけます。

妊娠中でも歯周病の治療を受けられますか

受けられます。安全上の問題は報告されていませんが、早産を減らせるかは分かっていません[9]。時期や麻酔は、母子手帳をお持ちのうえでご相談ください。

糖尿病があります。歯周病の治療は受けられますか

受けられます。糖尿病の方は歯周病が重くなりやすく[10]、治療は糖尿病の治療の代わりにはなりません[11]。お薬と主治医をお伝えください。

④毎日のお手入れ

歯と歯の間は、すき間の広さでフロスか歯間ブラシを選びます。
電動歯ブラシや水流の器具は助けになりますが、歯科のケアの代わりにはなりません。

電動歯ブラシやうがい薬で、歯科に通わなくても済みますか

電動歯ブラシは汚れと炎症を減らす報告がありますが、機種差があり、みがき方で歯ぐきが下がることもあります[12][13]。溝の奥の歯石は取れないので、歯科のケアと組み合わせます。

歯と歯の間は、フロスと歯間ブラシのどちらを使えばよいですか

すき間の広さで選びます。狭ければフロス、開いていれば歯間ブラシです[14]。

フロスは毎日するべきですか? いつするのがよいですか?

炎症のある方には1日1回が勧められています [15]。小さな試験では、歯みがきの前に使うほうが歯間の汚れが多く減りました [16]。

フロスや歯間ブラシは何回使えますか?

フロスは基本的に使い捨てです。歯間ブラシは洗って使えますが、毛が寝たりワイヤーが曲がったりしたら交換します。

使ったフロスや歯間ブラシが臭うのはなぜですか?

たまった汚れを細菌が分解するためです。同じ場所がいつも臭うときは、炎症やむし歯のこともあるので歯科で確かめましょう。

フロスが引っかかる・切れる・通すと痛いのですが。

詰め物の段差やむし歯、歯石が原因のことがあります。いつも同じ場所なら、無理に通さず歯科でご相談ください。

水流で洗う器具(ウォーターフロス)で代わりになりますか?

歯ブラシに加えると1か月後の炎症は減ったものの、3か月以降は差がなく、確かさは非常に低いとされます [14]。補助として考えます。

⑤口臭のこと

口臭の多くは口の中が原因です。
市販品は一時的な助けで、舌と歯間の清掃、歯周病の治療で、においのもとから減らします。

何をしても口臭が治らないのですが。

歯周ポケットや舌の奥、詰め物の段差が原因のことがあります[17]。歯科で見つからなければ、耳鼻咽喉科や内科へご案内します。

家族の口臭に、どう気づかせればいいですか?

においを指摘するより、「歯ぐきの検査を一緒に受けよう」と誘う形が受け入れられやすいことがあります。

口臭用の歯磨き粉やタブレットで治りますか?

一時的にやわらげる助けにはなりますが、原因を取り除くものではありません[18]。舌と歯間の清掃、歯周病の治療で、もとから減らします。

にんにくの口臭は、いつまで続きますか?

成分が血液から息に出るため、歯みがきでは消えにくく、翌日まで残ることがあります。時間がたてば消えていきます。

参考文献(18件)
  1. 厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」表18(歯肉出血を有する者の割合)・表19(歯周ポケットを有する者の割合)・表20(4mm以上の歯周ポケットの年次推移)
  2. 内藤徹ほか『知ってて得した!歯周治療に活かせるエビデンス』クインテッセンス出版(Quint Study Club) PART① 病因。罹患率とCPIの読み方、重症度基準、バイオフィルム、silent disease
  3. 厚生労働省「平成23年 歯科疾患実態調査」。4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合(35〜44歳 27%、45〜54歳 43%)、6mm以上(45〜54歳 10%以下)。[1] の整理による
  4. Löe H, Theilade E, Jensen SB. Experimental gingivitis in man. J Periodontol. 1965;36:177-87.PMID: 14296927
  5. 内藤徹ほか『知ってて得した!歯周治療に活かせるエビデンス』クインテッセンス出版(Quint Study Club) PART④ プロフェッショナルケア(PMTCで縁下細菌も減少、要介護高齢者の肺炎予防、メインテナンスとSPTの定義、SPTの交絡、通院間隔3〜6か月の3つの根拠と7つの因子、線維性歯肉と喫煙者)
  6. 内藤徹ほか『知ってて得した!歯周治療に活かせるエビデンス』クインテッセンス出版(Quint Study Club) PART① 病因(喫煙:喫煙者15.6%/非喫煙者4.9%、受動喫煙1.6倍、喫煙者はBoPが少なく炎症所見が乏しい)
  7. 内藤徹ほか『知ってて得した!歯周治療に活かせるエビデンス』クインテッセンス出版(Quint Study Club) PART① 病因(原因:プラークからバイオフィルムへ。グリコカリックス、レッドコンプレックス Socransky 2005、宿主因子と環境因子)
  8. Sekino S, Ramberg P, Uzel NG, Socransky S, Lindhe J. The effect of a chlorhexidine regimen on de novo plaque formation. J Clin Periodontol. 2004;31(8):609-14.PMID: 15257736
  9. Iheozor-Ejiofor Z, Middleton P, Esposito M, Glenny AM. Treating periodontal disease for preventing adverse birth outcomes in pregnant women. Cochrane Database Syst Rev. 2017;6(6):CD005297.PMID: 28605006
  10. Sanz M, Ceriello A, Buysschaert M, et al. Scientific evidence on the links between periodontal diseases and diabetes: Consensus report and guidelines of the joint workshop on periodontal diseases and diabetes by the International Diabetes Federation and the European Federation of Periodontology. J Clin Periodontol. 2018;45(2):138-149.PMID: 29280174
  11. Simpson TC, Clarkson JE, Worthington HV, et al. Treatment of periodontitis for glycaemic control in people with diabetes mellitus. Cochrane Database Syst Rev. 2022;4(4):CD004714.PMID: 35420698
  12. Yaacob M, Worthington HV, Deacon SA, et al. Powered versus manual toothbrushing for oral health. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(6):CD002281.PMID: 24934383
  13. 内藤徹ほか『知ってて得した!歯周治療に活かせるエビデンス』クインテッセンス出版(Quint Study Club) PART③ セルフケア(PCR 20%以下・維持期20〜40%、歯間清掃用具の使用率、電動歯ブラシの機種差と誤用、洗口剤は補助)
  14. Worthington HV, MacDonald L, Poklepovic Pericic T, et al. Home use of interdental cleaning devices, in addition to toothbrushing, for preventing and controlling periodontal diseases and dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;4(4):CD012018.PMID: 30968949
  15. Chapple ILC, Van der Weijden F, Doerfer C, et al. Primary prevention of periodontitis: managing gingivitis. J Clin Periodontol. 2015;42 Suppl 16:S71-6.PMID: 25639826
  16. Mazhari F, Boskabady M, Moeintaghavi A, Habibi A. The effect of toothbrushing and flossing sequence on interdental plaque reduction and fluoride retention: A randomized controlled clinical trial. J Periodontol. 2018;89(7):824-832.PMID: 29741239
  17. Quirynen M, Dadamio J, Van den Velde S, et al. Characteristics of 2000 patients who visited a halitosis clinic. J Clin Periodontol. 2009;36(11):970-5.PMID: 19811581
  18. Kumbargere Nagraj S, Eachempati P, Uma E, Singh VP, Ismail NM, Varghese E. Interventions for managing halitosis. Cochrane Database Syst Rev. 2019;12(12):CD012213.PMID: 31825092
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