①むし歯は「溶ける」と「戻る」のせめぎ合い
歯の表面の細菌が糖から酸を作って歯を溶かし、唾液がそれを戻します。
戻る側を助けることが、穴を防ぐ近道です。

歯の表面の細菌の膜(歯垢=プラーク)は、糖から酸を出して歯のミネラルを溶かします(脱灰)。溶けた分は唾液が戻し(再石灰化)、これが食事のたびにくり返されます。
穴になるのは、傾きが続いたとき
溶ける側に傾いた状態が長く続くと、目に見える穴(う窩)になります。どちらに傾くかは酸性の時間の長さで決まるので、日々の工夫で戻る側に寄せられます。
ごく初期のむし歯には、削らずに戻る側を助ける選択肢があります。くわしくは「むし歯の進行段階」の記事へ。
②食べたあと、口の中で何が起きているか
糖を口にすると数分で酸性に傾き、約30分かけて戻ります。
pH5.5を下回る間、歯は溶け続けます。
甘いものを口にすると、口の中のpH(酸性の度合い)は急に下がり、唾液の力で約30分かけて中性に戻ります(ステファンカーブ)。
食べたあと、口の中はどう変わるか(ステファンカーブ)
pH5.5という境目
pHが5.5(臨界pH)を下回っている間、歯の表面は溶け続けます。
pHが1下がるごとに、ミネラルは10倍溶けやすくなるとされています。
問題は「甘いものを食べたか」より、酸性の時間の長さです。
だらだら何度も口にすると、その時間が延びます。
食べる「回数」については、甘いものとむし歯(量より回数)でくわしくお伝えしています。
③「むし歯になりやすい歯」
という体質はあるか
なりやすい歯・なりにくい歯があるわけではない、とされています。
差は歯の強さでなく、場所の汚れやすさです。

「自分は歯が弱い」と感じる方も多いですが、なりやすい歯があるわけではないとされています。
差を生むのは「場所」
差は、歯ブラシの届きにくさです。汚れが残りやすいのは次の場所です。
- 奥歯のかみ合わせの溝
- 歯と歯の間
- 歯ぐきのきわ
- 詰め物やかぶせ物の辺縁
「体質」ではなく「場所」の問題なら、手を打てる余地があります。生まれつき歯の表面に弱い部分がある方は、診察でお尋ねください。
④「むし歯菌」を減らせば防げるのか
特定の菌を狙うより、酸の時間を短くすることが近道です。
口の中の細菌は99%が未解明とされ、酸の時間なら毎日の工夫で短くできます。

特定の菌を狙う方法は、確かさがまだ低いとされています。細菌の99%が未解明で、唾液の指標でリスクを測るのもまだ難しいためです。
狙うのは菌ではなく、酸の時間
菌をゼロにはできなくても、酸を出す時間は短くできます。それが次の3本柱です。
溶ける時間を短くする3本柱
汚れ(歯垢)を減らす毎日のホームケア(歯みがき)。酸を出す細菌の膜を薄くします。
フッ化物を口の中に置いておくフッ素配合の歯みがき粉を続けて使う。戻る側を助けます。
糖を口にする回数を減らす無理のない範囲で。量よりも回数が大切です。

