①フッ素塗布
歯科で塗る、濃いフッ素
歯の表面を酸に溶けにくくする処置です。
研究のまとめでは、乳歯のむし歯が37%減っていました。

フッ素は、歯の表面を酸に溶けにくくし、溶けかけた表面が戻るのを助けます。歯科では、家庭用より濃いものを塗ります。
どのくらい効くか
22の研究のまとめでは、歯科で塗るフッ素でむし歯が乳歯で37%減っていました [1]。研究の数字です。
歯科で塗るフッ素で、むし歯はどのくらい減ったか(研究のまとめ)
塗る回数や濃さによる差は、まだはっきりしていません [1]。毎日の歯みがきと食事と組み合わせると、より守りやすくなります。
塗ったあと30分ほど飲食を控えると、フッ素が歯にとどまりやすくなります。
家庭のフッ素入り歯みがき粉
フッ素入り歯みがき粉もむし歯を減らします [2]。濃さは年齢で変えます [3]。
②シーラント
奥歯の溝をふさぐ
奥歯の溝を樹脂で埋め、汚れが入らないようにします。
研究では2年後のむし歯が16%から5.2%に減りました。

6歳ごろに生える奥歯は溝が深く、歯ブラシが届きにくい歯です。この溝を樹脂で埋めるのがシーラントです。
歯は削らず、溝を清掃して樹脂を流し、光で固めます(1本数分)。口を開けていられる年齢になってからが目安です。
どのくらい効くか
38の研究のまとめでは、2年後のむし歯が16%から5.2%に減っていました [4]。
奥歯100本のうち、2年後にむし歯になった本数(研究の試算)
シーラントなし16人
シーラントあり5人
むし歯になったむし歯にならなかった
デメリットと、定期検診での備え
シーラントは取れたり欠けたりすることがあります。定期検診で確かめ、必要なら塗り直すので安心です。
- 歯と歯のあいだは、歯みがきやフロスで守ります
- すでにむし歯がある溝は、先に治療します
- ガラスの材料(グラスアイオノマー)は、根拠がまだ少ない [4]
③フッ素とシーラント、どちらがよいか
どちらにも役割があり、奥歯の溝ではまだ優劣はつけられていません。
歯の状態に合わせて使い分けます。

2020年のレビューでは、奥歯の溝について、フッ素塗布とシーラントの優劣はまだつけられないとされています [5]。両方を組み合わせる方法も報告されていますが、確かさはまだ低いとされます [5]。
2つの処置の違い(優劣ではなく特徴)
| フッ素塗布 | シーラント | |
|---|---|---|
| 守る場所 | 歯の表面ぜんたい | 奥歯の溝だけ |
| 始める時期 | 歯が生えたら | 奥歯が生えそろってから |
| 続け方 | 定期的に塗り直す | 取れていないか確かめる |
| 向く歯 | 生えたての歯、前歯も | 溝が深い奥歯 |
歯の状態に合わせて組み合わせることも、どちらか一方で十分なこともあります。
④キシリトールの上手な使い方
砂糖の代わりになる甘味料です。
むし歯を減らす根拠はまだ少ないため、フッ素と歯みがきに添えて使うと安心です。

キシリトールは、むし歯の菌が酸を作れない甘味料です。おやつの砂糖の代わりにする意味はあります。
10の研究のまとめでは、むし歯を減らす根拠はまだ限られています [6]。
フッ素と歯みがきを土台に、おやつの補助として取り入れましょう。
⑤乳歯のむし歯は、放置せず早めの手当てを
進行止めという選択
早めの手当てがおすすめです。
乳歯のむし歯は進みが早く、痛みや永久歯の場所にも関わるため、早く気づくほど守りやすくなります。
乳歯のむし歯の特徴
- 乳歯は層が薄く、むし歯が早く神経に近づく
- 初めは白くにごり、進むと茶色や黒に。痛みが出にくいので、定期検診で早く見つけられると安心
- 奥歯を残すことが、永久歯の場所を守る(早く抜けると下で1.24mm狭まる)[7]
進行止め(フッ化ジアンミン銀)とは
むし歯に薬を塗り、進みを止める方法です。削らないので小さな子にも使え、ほかの材料より止まる割合が多かったと報告されています [8]。
- 塗った部分は黒く変わります。前歯では相談のうえで
- 穴はふさがらないため、定期的に確かめて塗り直す
- 大きなむし歯や痛みがあるときは、詰める・神経の治療で対応する
Q&A
参考文献(8件)
- Marinho VC, Worthington HV, Walsh T, Clarkson JE. Fluoride varnishes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2013;2013(7):CD002279.PMID: 23846772
- Walsh T, Worthington HV, Glenny AM, Marinho VC, Jeroncic A. Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;3(3):CD007868.PMID: 30829399
- 日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会「4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」(2023年1月)。歯の萌出〜2歳:1000ppm 米粒程度、3〜5歳:1000ppm グリーンピース程度、6歳以上:1500ppm 1.5cm程度
- Ahovuo-Saloranta A, Forss H, Walsh T, Nordblad A, Mäkelä M, Worthington HV. Pit and fissure sealants for preventing dental decay in permanent teeth. Cochrane Database Syst Rev. 2017;7(7):CD001830.PMID: 28759120
- Kashbour W, Gupta P, Worthington HV, Boyers D. Pit and fissure sealants versus fluoride varnishes for preventing dental decay in the permanent teeth of children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2020;11(11):CD003067.PMID: 33142363
- Riley P, Moore D, Ahmed F, Sharif MO, Worthington HV. Xylitol-containing products for preventing dental caries in children and adults. Cochrane Database Syst Rev. 2015;2015(3):CD010743.PMID: 25809586
- Zhao J, Jin H, Li X, Qin X. Dental arch spatial changes after premature loss of first primary molars: a systematic review and meta-analysis of split-mouth studies. BMC Oral Health. 2023;23(1):430.(11研究・477人。6〜24か月で上顎 0.65mm、下顎 1.24mm の隙間の減少)PMID: 37380944
- Chibinski AC, Wambier LM, Feltrin J, Loguercio AD, Wambier DS, Reis A. Silver Diamine Fluoride Has Efficacy in Controlling Caries Progression in Primary Teeth: A Systematic Review and Meta-Analysis. Caries Res. 2017;51(5):527-541.(11試験。12か月後のむし歯の停止が、ほかの材料やプラセボより多かった。証拠の質は高いと評価)PMID: 28972954

