①2025年の報告
歯周病の菌と不妊
不妊治療中の女性は、歯周病の菌への抗体が多かったという2025年の報告があります。
まだ始まったばかりの研究です。

2025年、岡山大学のグループが、歯周病の代表的な菌P.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)と不妊の関係を報告しました [1][2]。
不妊治療中の女性70人は、自然に妊娠した女性76人より、P.g菌への抗体の値が高い傾向でした [2]。抗体が高いのは、歯ぐきの炎症が長く続いていた印と考えられます [2]。
動物実験でわかったこと
歯周病にしたマウスの実験では、出産数が少なく、子の体重が軽く、子宮が厚くなっていました [2]。
「歯周病があると妊娠できない」「治せば妊娠できる」という話ではないので、安心してください。不妊治療中の方は年齢などほかの要因も重なっており、歯ぐきのケアはできる準備のひとつです [2]。
②歯ぐきの健康と、妊娠までの期間
歯周病のなかった女性は妊娠まで平均5.0か月、あった女性は7.1か月という研究があります。
差が確かかは、まだ調べている段階です。

2012年、オーストラリアで妊婦さん3,416人に、妊娠までの期間を尋ねた調査があります [3]。
妊娠までにかかった期間の平均(自然妊娠した女性)
歯周病がなかった方は平均5.0か月、あった方は7.1か月でした [3]。
人種によって、結果に違いがあった
差は白人以外の女性でははっきりし、白人の女性では見られませんでした [3]。研究者も「別の要因かもしれず、さらに調べる必要がある」としています [3]。
③なぜ歯ぐきの炎症が、体の遠くに影響するのか
歯ぐきの炎症で生じる物質や菌が血液に入り、全身の炎症を強めると考えられています。

糖尿病や早産と歯周病の関係も、この全身の炎症という道筋で説明されています [1]。
どれも「歯周病があれば必ずそうなる」ものではなく、少し影響する要因のひとつです。言いかえれば、歯ぐきのケアで整えられる要因でもあります。
パートナーのお口は?
2025年の報告は女性が対象です [2]。男性の歯周病と妊娠しやすさは、確かな研究がまだありません。お口を整えることはご自身の健康にも役立つので、ご夫婦で一緒に検診を受けるのもおすすめです。
Q&A
参考文献(3件)
- 仲井(永原)幸恵「妊娠1000日」日本歯科新聞 第362号(2026年2月10日)。妊娠期の重度歯周病と低体重児出産・早産、P.g菌感染を伴う歯周病と不妊の可能性(Kamei-Nagata ら 2025 の紹介)、プレコンセプションケアは性別を問わないこと
- Kamei-Nagata C, Omori K, Sako H, et al. Periodontitis associated with Porphyromonas gingivalis infection is a risk factor for infertility through uterine hypertrophy. Sci Rep. 2025;15(1):34964.PMID: 41057450
- Hart R, Doherty DA, Pennell CE, Newnham IA, Newnham JP. Periodontal disease: a potential modifiable risk factor limiting conception. Hum Reprod. 2012;27(5):1332-42.PMID: 22362927

