①母乳で育った子は、歯並びの乱れが少ないという研究
母乳で育った子は不正咬合が少なく、期間が長いほど少ない傾向です(41研究のまとめ)。

不正咬合(歯並びの乱れ)の起こりやすさ:母乳で育った子は、そうでない子の何倍か
41の研究のまとめでは、母乳で育ったことがある子の不正咬合は、ない子の約3分の1でした [1]。期間が長いほど少ない傾向です [1]。
母乳だけで歯並びが決まるわけではない
観察研究のまとめなので、母乳そのものの効果か、指しゃぶりの少なさなど別の違いによるものかは、まだ分けられていません [1]。ミルクで育てている方も、ほかの工夫で歯並びの土台を育てることができます。
また、母乳の期間が長いとむし歯が増える傾向も報告されています [2]。歯が生えたら、授乳後のお口のケアも一緒に始めると安心です。
②どのくらいの期間が目安か
厚生労働省は1歳までは欲しがるだけ、WHO・UNICEFは2歳までをすすめています。
ご家庭に合ったかたちがいちばんです。

母乳が出にくい方、ミルクで育てている方へ
母乳が出にくい、続けるのが難しいというご家庭はたくさんあります。母乳でもミルクでも、それぞれのかたちで大丈夫です。
ミルクでも、飲み方や離乳食、噛む練習で、お口の発達を応援できます(「お口ぽかんの本当の治し方」へ)。
歯が生えたあとの寝ながらの授乳は、むし歯の原因になることがあります [2]。授乳のあとにガーゼでやさしく拭くひと手間で、歯を守れます。
③「ラッチオン」
吸うのではなく、噛むように飲む
乳首を深くくわえ、あごで噛むように飲む飲み方です。
上あごの成長を促すという考え方です。

乳首を深くくわえて噛むように飲む、ラッチオン(吸着)という飲み方が注目されています。上あごの骨や鼻の空間の成長を促すという考え方です [3]。
「吸う」飲み方と「噛むように飲む」飲み方
- 乳首の先だけを口に入れる
- 唇や舌の動きが小さい
- あごの筋肉をあまり使わない
- 乳輪まで深くくわえる
- 唇と舌を大きく動かす
- あごの筋肉(咬筋)を使い、歯ぐきで噛むように飲む
飲むことで育つもの
ミルクでも、乳首の穴が大きすぎずあごを動かして飲めるものを選ぶと、同じような刺激が期待できると考えられます。
④成長は、一歩ずつ順番に
寝返り・おすわり・ハイハイ・歩く。
この順番を一つずつ大切にすることが、お口の発達にもつながると考えられています。

お口の発達は、体の発達と切り離せません。寝返り→おすわり→ハイハイ→歩くの順番を、お子さんのペースで一つずつ進めることがすすめられています [3]。
- ハイハイで、体幹と首まわりの筋肉が育つ
- 歩行器は早くから使わず、自分で動く時間を大切に(体幹の発達のため)[3]
- 早く歩くことより、各段階をたっぷり経験することが大切
離乳食も、段階を飛ばさずに進めると噛む動きが育ちやすくなります。月齢よりお子さんの様子に合わせて進めましょう。
Q&A
参考文献(3件)
- Peres KG, Cascaes AM, Nascimento GG, Victora CG. Effect of breastfeeding on malocclusions: a systematic review and meta-analysis. Acta Paediatr. 2015;104(467):54-61.PMID: 26140303
- Victora CG, Bahl R, Barros AJ, et al. Breastfeeding in the 21st century: epidemiology, mechanisms, and lifelong effect. Lancet. 2016;387(10017):475-90.PMID: 26869575
- 藤原康生「0歳からの保育園調査で分かった過蓋咬合,反対咬合,叢生の原因」日本歯科医師会雑誌 Vol.77 No.12(2025年3月)。母乳育児の期間と不正咬合(米国国立医学図書館の情報の紹介)、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年)とWHO・UNICEFの推奨、ラッチオン、哺乳で獲得できること(表5)、成長の順序性と歩行器、江戸時代の人骨の傍証

