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紅葉の日本庭園を散歩する夫婦

母乳育児と、将来の歯並び
「ラッチオン」という飲み方

授乳期は、歯が生える前から歯並びの土台が育っていく時期です。母乳でもミルクでも、いまからできることを研究とあわせてお伝えします。

①母乳で育った子は、歯並びの乱れが少ないという研究

母乳で育った子は不正咬合が少なく、期間が長いほど少ない傾向です(41研究のまとめ)。

午後の光の中で、赤ちゃんを抱いた母親が窓の外を見ている後ろ姿
飲み方も、お口の育ちの一部です

不正咬合(歯並びの乱れ)の起こりやすさ:母乳で育った子は、そうでない子の何倍か

母乳で育ったことがある子(ない子=1.0)

母乳だけで育った子(そうでない子=1.0)

起こりやすさ0.54倍

母乳の期間が長い子(短い子=1.0)

起こりやすさ0.4倍
出典:Peres ら 2015、41研究・27,023人のメタ分析(調整オッズ比)[1]。観察研究のまとめで、母乳以外の要因(指しゃぶり、おしゃぶり、家庭環境)が混ざっている可能性があります。

41の研究のまとめでは、母乳で育ったことがある子の不正咬合は、ない子の約3分の1でした [1]。期間が長いほど少ない傾向です [1]。

母乳だけで歯並びが決まるわけではない

観察研究のまとめなので、母乳そのものの効果か、指しゃぶりの少なさなど別の違いによるものかは、まだ分けられていません [1]。ミルクで育てている方も、ほかの工夫で歯並びの土台を育てることができます。

また、母乳の期間が長いとむし歯が増える傾向も報告されています [2]。歯が生えたら、授乳後のお口のケアも一緒に始めると安心です。

②どのくらいの期間が目安か

厚生労働省は1歳までは欲しがるだけ、WHO・UNICEFは2歳までをすすめています。
ご家庭に合ったかたちがいちばんです。

明るいキッチンで、母親が白いベビーチェアの赤ちゃんに、スプーンでおかゆを食べさせている
母乳やミルクに、離乳食が少しずつ加わります
  • 厚生労働省(2019年):1歳未満は、欲しがるだけ母乳を [3]
  • WHO・UNICEF:補完食を加えながら、2歳までの母乳育児 [3]

母乳が出にくい方、ミルクで育てている方へ

母乳が出にくい、続けるのが難しいというご家庭はたくさんあります。母乳でもミルクでも、それぞれのかたちで大丈夫です。

ミルクでも、飲み方や離乳食、噛む練習で、お口の発達を応援できます(「お口ぽかんの本当の治し方」へ)。

歯が生えたあとの寝ながらの授乳は、むし歯の原因になることがあります [2]。授乳のあとにガーゼでやさしく拭くひと手間で、歯を守れます。

③「ラッチオン」
吸うのではなく、噛むように飲む

乳首を深くくわえ、あごで噛むように飲む飲み方です。
上あごの成長を促すという考え方です。

明るい窓辺の椅子で、母親がおくるみに包んだ赤ちゃんを胸に抱き、やさしく見つめている
授乳の時間も、お口が育つ時間です

乳首を深くくわえて噛むように飲む、ラッチオン(吸着)という飲み方が注目されています。上あごの骨や鼻の空間の成長を促すという考え方です [3]。

「吸う」飲み方と「噛むように飲む」飲み方

浅くくわえて、吸う
  • 乳首の先だけを口に入れる
  • 唇や舌の動きが小さい
  • あごの筋肉をあまり使わない
深くくわえて、噛むように飲む(ラッチオン)
  • 乳輪まで深くくわえる
  • 唇と舌を大きく動かす
  • あごの筋肉(咬筋)を使い、歯ぐきで噛むように飲む
出典:日本歯科医師会雑誌 2025 [3]。日本の歯科雑誌・新聞の報告にもとづく考え方で、系統的レビューで確かめられたものではありません。飲み方は助産師にもご相談ください。

飲むことで育つもの

  • 上下の前歯が先で合う噛み合わせ(切端咬合)[3]
  • 上あごの骨、鼻の空間(鼻腔・副鼻腔)[3]
  • 唇や舌など、お口のまわりの筋肉 [3]
  • 脳への刺激 [3]

ミルクでも、乳首の穴が大きすぎずあごを動かして飲めるものを選ぶと、同じような刺激が期待できると考えられます。

④成長は、一歩ずつ順番に

寝返り・おすわり・ハイハイ・歩く。
この順番を一つずつ大切にすることが、お口の発達にもつながると考えられています。

寝返り、おすわり、ハイハイ、歩く、の4つの赤ちゃんの姿のアイコン
成長に、飛び級はありません

お口の発達は、体の発達と切り離せません。寝返り→おすわり→ハイハイ→歩くの順番を、お子さんのペースで一つずつ進めることがすすめられています [3]。

  • ハイハイで、体幹と首まわりの筋肉が育つ
  • 歩行器は早くから使わず、自分で動く時間を大切に(体幹の発達のため)[3]
  • 早く歩くことより、各段階をたっぷり経験することが大切

離乳食も、段階を飛ばさずに進めると噛む動きが育ちやすくなります。月齢よりお子さんの様子に合わせて進めましょう。

参考文献(3件)
  1. Peres KG, Cascaes AM, Nascimento GG, Victora CG. Effect of breastfeeding on malocclusions: a systematic review and meta-analysis. Acta Paediatr. 2015;104(467):54-61.PMID: 26140303
  2. Victora CG, Bahl R, Barros AJ, et al. Breastfeeding in the 21st century: epidemiology, mechanisms, and lifelong effect. Lancet. 2016;387(10017):475-90.PMID: 26869575
  3. 藤原康生「0歳からの保育園調査で分かった過蓋咬合,反対咬合,叢生の原因」日本歯科医師会雑誌 Vol.77 No.12(2025年3月)。母乳育児の期間と不正咬合(米国国立医学図書館の情報の紹介)、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年)とWHO・UNICEFの推奨、ラッチオン、哺乳で獲得できること(表5)、成長の順序性と歩行器、江戸時代の人骨の傍証
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