①お口ぽかんの子は、どのくらいいるか
3〜12歳の30.7%に見られる、身近な状態です。
年齢とともに増えていたため、早めに工夫を始めると安心です。

口を閉じていられない状態を「口唇閉鎖不全」、俗にお口ぽかんといいます。
全国の小児歯科で3〜12歳の3,399人を調べた2021年の研究では、30.7%に見られました [1]。
お口ぽかんの子どもの割合(100人あたり)
お口ぽかんがある31人
ない69人
お口ぽかんがあるない
年齢が上がるほど増えていた
割合は年齢とともに増えており、成長を待つより、早めに働きかけるのがよさそうです [1]。顔の形、口呼吸、アレルギー性鼻炎の可能性との関係も見られました [1]。
- テレビを見ているとき、口が開いている
- 唇が乾いて荒れやすい
- 寝ているとき、いびきや口呼吸がある
②口呼吸・お口ぽかんの原因
「閉じなさい」より大切なこと
原因はあごや顔の骨と筋肉にあるとされ、骨と筋肉を育てる働きかけが近道です。

原因は意識ではなく、あごや顔の骨と筋肉にあるとされます。そのため声かけより、骨と筋肉を育てる工夫が役立ちます [2]。
口腔機能発達不全症という診断
食べる・話す・呼吸の3つで診断する「口腔機能発達不全症」という病名があります [2]。お口ぽかんは、呼吸の機能のひとつとして確かめます。
- 食べる:前歯でかじれない、丸飲み、食べるのが遅い
- 話す:発音がはっきりしない
- 呼吸:口が開いている、いびき、鼻がつまりやすい
鼻づまりが強い場合は、必要に応じて耳鼻科と連携します。
③前歯でかじる
「前歯がぶり」
前歯に力がかかると、顔の中ほどの骨が前へ成長するとされます。
毎日の食卓でできる工夫があります。

前歯に10kgの力がかかると、顔の中ほどの骨に1cm²あたり4.3kgの前向きの力が加わると説明されています [2]。使うほど前へ成長し、鼻で呼吸しやすくなるとされます [2]。
- 前歯が生えていれば、離乳食の時期から
- かじりごたえのある食べ物で、前歯を使う機会を増やす
- 食事は座って、口を閉じて噛むところから
家庭でできる工夫
前歯を使わせる、食卓の工夫
- ごはんを海苔で巻く海苔を前歯でかみ切る動きが、自然に前歯を使う練習になります。
- おかずを一口大にしない大きいまま出して、前歯でかじり取らせます。
- りんご・とうもろこしなど、かじる食べ物切らずに持たせて、前歯でかじる機会を増やします。
- 年齢に合った大きさ・硬さでのどに詰まらないよう、年齢に合う大きさ・硬さを選び、大人が見ている場で食べると安心です。
噛み合わせや呼吸のことは、歯科で一緒に確かめましょう。
④お口の体操(MFT)
まず「ぶくぶく」から
口のまわりの筋肉を鍛える体操を4つ紹介します。
始めやすいのは、歯みがき後2分の「ぶくぶく」です。

口のまわりや舌の筋肉を鍛える練習を、MFT(口腔筋機能療法)といいます [2]。
家庭で続けやすい、お口の体操4つ
- ぶくぶくトレーニング夕食後の歯みがきのあと、最後のうがいを2分以上。唇だけでなく、舌を上に保つ筋肉も鍛えられます。
- チューブトレーニングゴムのチューブを前歯で噛む練習。深い噛み合わせの改善や、前歯が先で合う状態につながった症例があります。
- あいうべ体操「あ・い・う」と大きく口を動かし、「べ」で舌を出します。口のまわりの筋肉を動かす体操です。
- 引きちぎりトレーニング前歯で食べ物をくわえ、引きちぎる動きを練習します。
なぜ「ぶくぶく」が続くのか
歯みがきにうがい2分を足すだけなので、続けやすいとされます [2]。最初は30秒から、少しずつ伸ばします。
- 水は少なめに。ほおを大きくふくらませる
- 左右・上下に動かし、唇をしっかり閉じる
- タイマーや歌で区切る
体操は、歯科での見守りと並行して進めます。深い噛み合わせや受け口がある場合も、一緒に経過を見ていきましょう。
Q&A
参考文献(3件)
- Nogami Y, Saitoh I, Inada E, et al. Prevalence of an incompetent lip seal during growth periods throughout Japan: a large-scale, survey-based, cross-sectional study. Environ Health Prev Med. 2021;26(1):11.PMID: 33478389
- 藤原康生「0歳からの保育園調査で分かった過蓋咬合,反対咬合,叢生の原因」日本歯科医師会雑誌 Vol.77 No.12(2025年3月)。口腔機能発達不全症の3機能、お口ぽかんの治し方の誤解、前歯がぶり(10kg→4.3kg/cm²)、家庭での実践例、チューブトレーニングの症例、MFT厳選4選、ぶくぶくトレーニング(2分以上)
- Machado E, Dal-Fabbro C, Cunali PA, Kaizer OB. Prevalence of sleep bruxism in children: a systematic review. Dental Press J Orthod. 2014;19(6):54-61.(4研究。子どもの睡眠時の歯ぎしりは 5.9〜49.6%。診断の基準で大きく違う)PMID: 25628080

