①噛み合わせと姿勢・肩こり
何がわかっているか
関係があるとする研究が多い一方で、まだ結論は出ていません。
研究で分かっていることを、正直にお伝えします。

「噛み合わせが悪いと姿勢が崩れ、肩こりや頭痛につながる」という話があります。研究は進んでいますが、まだ結論は出ていません。
姿勢との関係を調べた12の研究では、66.7%が「関係がある」、33.3%が「関係はない」という結果でした。調べ方がそれぞれ違うため、まとめて計算することはできませんでした [1]。
噛み合わせと姿勢に「関係がある」とした研究の割合(12研究)
顎関節症と姿勢の関係も、これからの研究
②関係があることと、治ることを分けて考える
噛み合わせと不調に関係があっても、噛み合わせを変えれば治るとは限りません。
だからこそ、原因を一つずつ確かめます。

関係があることと、噛み合わせを変えれば治ることは、別に考えるのが大切です。
あごの位置を変える装置で姿勢や運動能力が良くなる、という主張は、まだ根拠が足りないとされています(2026年のレビュー)[3]。
失った歯を補うと、噛み合わせを守れる
失った歯を補うと、隣の歯が倒れたり、噛み合う歯が伸びたりするのを防ぎ、噛み合わせを保ちやすくなります。
③まずは、元に戻せる方法から
顎関節症の症状には、歯を削らずに元に戻せる方法から始めることが、学会で勧められています。

日本顎関節学会は、症状をよくする目的で歯を削る咬合調整は、行わないよう強く勧めています [5]。削った歯は元に戻せないため、まずは歯を削らない方法を選びます [5]。
歯を削らずにできること
顎関節症の多くは、時間とともに軽くなります。治療をしなかった人でも、2.5年で43%の症状がなくなり、33%が軽くなりました [7]。
歯を整えるのは、原因がはっきりしているとき
新しいかぶせ物が高くて当たるなど、原因がはっきりしているときは、その部分を少しだけ整えます。
④噛み合わせが関わりやすいこと・関わりにくいこと
あごの関節や筋肉の負担、歯のすり減りには、噛み合わせが深く関わります。
頭痛・肩こりとの関係は、研究が続いている段階です。

噛み合わせとの関係の確かさ
はっきりしている
- あごの関節・筋肉の負担(高いかぶせ物など)
- 歯のすり減り、かぶせ物の欠け
- 食べ物の噛みにくさ
研究が続いている
- 姿勢との関係(研究の結果が分かれている)[1]
- 顎関節症と姿勢(研究が3本)[2]
- 頭痛・肩こり
根拠がまだ少ない
- 目・耳・鼻の症状、手足のしびれ、膝の痛み
- 噛み合わせを変えれば体の不調が治るという主張[3]
目・耳・手足などの症状は、噛み合わせ以外の原因も一緒に確かめることで、大切な病気を見逃さずにすみます。
Q&A
参考文献(8件)
- Álvarez Solano C, González Camacho LA, Castaño Duque SP, et al. To evaluate whether there is a relationship between occlusion and body posture as delineated by a stabilometric platform: A systematic review. Cranio. 2023;41(4):368-379.(オンライン公開 2020)PMID: 33357146
- Minervini G, Franco R, Marrapodi MM, et al. Correlation between Temporomandibular Disorders (TMD) and Posture Evaluated trough the Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders (DC/TMD): A Systematic Review with Meta-Analysis. J Clin Med. 2023;12(7):2652.PMID: 37048735
- Sadek S, Alamin M, Alardah M, et al. TENS/EMG-guided myocentric mandibular positioning: a systematic review and evidence map. Front Oral Health. 2026;7:1810650.PMID: 42416304
- 厚生労働省『令和4年(2022)歯科疾患実態調査 結果の概要』表12。喪失歯を持つ人の割合(45〜54歳 40.0%、65〜74歳 81.5%)
- 日本顎関節学会『顎関節症患者のための初期治療診療ガイドライン 3(2012 咬合調整)』。症状改善を目的とした咬合調整は行わないことを強く推奨(GRADE 1D)。削って悪化した患者の声が作成の動機
- 日本顎関節学会『顎関節症初期治療診療ガイドライン 2023 改訂版』(Minds c00780)。自己開口訓練と上顎型スタビリゼーション口腔内装置を弱く推奨、3か月同じ治療を続けて改善しなければ専門医へ
- Kurita K, Westesson PL, Yuasa H, et al. Natural course of untreated symptomatic temporomandibular joint disc displacement without reduction. J Dent Res. 1998;77(2):361-5.PMID: 9465168
- López-Solache A, Santana-Mora U, Santana-Penín U, Takkouche B. Occlusal adjustment and pain mitigation in temporomandibular disorders: A meta-analysis of randomized clinical trials. J Prosthet Dent. 2025;134(6):2189.e1-2189.e9.PMID: 40866158

