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噛み合わせと姿勢・体の不調

噛み合わせは、あごの関節や筋肉の負担と深く関わっています。体の不調の原因を一緒に整理し、無理のない方法からご提案します。

①噛み合わせと姿勢・肩こり
何がわかっているか

関係があるとする研究が多い一方で、まだ結論は出ていません。
研究で分かっていることを、正直にお伝えします。

左に上下の歯の列の断面、右に立っている人のシルエット。その間を結ぶ点の並びが途中で薄れていく
関わることはあるが、すべてではありません

「噛み合わせが悪いと姿勢が崩れ、肩こりや頭痛につながる」という話があります。研究は進んでいますが、まだ結論は出ていません。

姿勢との関係を調べた12の研究では、66.7%が「関係がある」、33.3%が「関係はない」という結果でした。調べ方がそれぞれ違うため、まとめて計算することはできませんでした [1]。

噛み合わせと姿勢に「関係がある」とした研究の割合(12研究)

関係あり

12研究のうち66.7%

関係なし

12研究のうち33.3%
出典:Álvarez Solano ら 2020、重心動揺計を使った研究の系統的レビュー[1]。調べ方がそれぞれ違うため、まとめての解析はできませんでした。「関係がある」研究が多いことは、原因と結果の証明とは別です。

顎関節症と姿勢の関係も、これからの研究

顎関節症と姿勢の関係をまとめた分析でも、使えた研究は3本でした [2]。これから研究が積み重なっていく分野です。

②関係があることと、治ることを分けて考える

噛み合わせと不調に関係があっても、噛み合わせを変えれば治るとは限りません。
だからこそ、原因を一つずつ確かめます。

歯を1本失ったままの歯の列の断面。隣の歯がすき間へ倒れ、噛み合う上の歯が下へ伸びている
失った歯を放置すると、噛み合わせは変わりえます

関係があることと、噛み合わせを変えれば治ることは、別に考えるのが大切です。

あごの位置を変える装置で姿勢や運動能力が良くなる、という主張は、まだ根拠が足りないとされています(2026年のレビュー)[3]。

失った歯を補うと、噛み合わせを守れる

失った歯を補うと、隣の歯が倒れたり、噛み合う歯が伸びたりするのを防ぎ、噛み合わせを保ちやすくなります。

失った歯がある人は、45〜54歳で40.0%でした [4]。失った歯を補うことは、噛み合わせを守ることにつながります。

③まずは、元に戻せる方法から

顎関節症の症状には、歯を削らずに元に戻せる方法から始めることが、学会で勧められています。

相談室で、歯科医師が歯の列の模型を手に、40代の女性に説明している
削る前に、元に戻せる方法から

日本顎関節学会は、症状をよくする目的で歯を削る咬合調整は、行わないよう強く勧めています [5]。削った歯は元に戻せないため、まずは歯を削らない方法を選びます [5]。

歯を削らずにできること

  • ご自分で行う、口を開ける練習(開口訓練)[6]
  • くいしばり・頬杖・うつぶせ寝の見直し
  • 必要に応じて、寝るときのマウスピース [6]
  • 3か月続けて変わらなければ、専門医へ [6]

顎関節症の多くは、時間とともに軽くなります。治療をしなかった人でも、2.5年で43%の症状がなくなり、33%が軽くなりました [7]。

歯を整えるのは、原因がはっきりしているとき

新しいかぶせ物が高くて当たるなど、原因がはっきりしているときは、その部分を少しだけ整えます。

④噛み合わせが関わりやすいこと・関わりにくいこと

あごの関節や筋肉の負担、歯のすり減りには、噛み合わせが深く関わります。
頭痛・肩こりとの関係は、研究が続いている段階です。

自宅のデスクのそばで、40代の女性が立ち上がって肩を回し、力を抜いている横顔
画面作業の合間に、肩とあごの力を抜く

噛み合わせとの関係の確かさ

はっきりしている

  • あごの関節・筋肉の負担(高いかぶせ物など)
  • 歯のすり減り、かぶせ物の欠け
  • 食べ物の噛みにくさ

研究が続いている

  • 姿勢との関係(研究の結果が分かれている)[1]
  • 顎関節症と姿勢(研究が3本)[2]
  • 頭痛・肩こり

根拠がまだ少ない

  • 目・耳・鼻の症状、手足のしびれ、膝の痛み
  • 噛み合わせを変えれば体の不調が治るという主張[3]
出典:Álvarez Solano 2020[1]、Minervini 2023[2]、Sadek 2026[3]、日本顎関節学会ガイドライン[5][6]。症状のかげに別の病気があることもあります。続く症状は、内科や耳鼻科などにもご相談ください。

目・耳・手足などの症状は、噛み合わせ以外の原因も一緒に確かめることで、大切な病気を見逃さずにすみます。

参考文献(8件)
  1. Álvarez Solano C, González Camacho LA, Castaño Duque SP, et al. To evaluate whether there is a relationship between occlusion and body posture as delineated by a stabilometric platform: A systematic review. Cranio. 2023;41(4):368-379.(オンライン公開 2020)PMID: 33357146
  2. Minervini G, Franco R, Marrapodi MM, et al. Correlation between Temporomandibular Disorders (TMD) and Posture Evaluated trough the Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders (DC/TMD): A Systematic Review with Meta-Analysis. J Clin Med. 2023;12(7):2652.PMID: 37048735
  3. Sadek S, Alamin M, Alardah M, et al. TENS/EMG-guided myocentric mandibular positioning: a systematic review and evidence map. Front Oral Health. 2026;7:1810650.PMID: 42416304
  4. 厚生労働省『令和4年(2022)歯科疾患実態調査 結果の概要』表12。喪失歯を持つ人の割合(45〜54歳 40.0%、65〜74歳 81.5%)
  5. 日本顎関節学会『顎関節症患者のための初期治療診療ガイドライン 3(2012 咬合調整)』。症状改善を目的とした咬合調整は行わないことを強く推奨(GRADE 1D)。削って悪化した患者の声が作成の動機
  6. 日本顎関節学会『顎関節症初期治療診療ガイドライン 2023 改訂版』(Minds c00780)。自己開口訓練と上顎型スタビリゼーション口腔内装置を弱く推奨、3か月同じ治療を続けて改善しなければ専門医へ
  7. Kurita K, Westesson PL, Yuasa H, et al. Natural course of untreated symptomatic temporomandibular joint disc displacement without reduction. J Dent Res. 1998;77(2):361-5.PMID: 9465168
  8. López-Solache A, Santana-Mora U, Santana-Penín U, Takkouche B. Occlusal adjustment and pain mitigation in temporomandibular disorders: A meta-analysis of randomized clinical trials. J Prosthet Dent. 2025;134(6):2189.e1-2189.e9.PMID: 40866158
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