①ボトックス治療とは
力が入りすぎる筋肉を、注射でやわらげる治療です。
効果は4〜6か月ほど続きます。
ボツリヌス菌からとったたんぱく質の一種を注射し、力が入りすぎる筋肉をやわらげます。
歯ぎしりや食いしばりが続くと、エラの噛む筋肉(咬筋)が発達し、歯やあごに負担がたまります。その力をやわらげて歯とあごを守ります。
歯科では、噛み合わせやあごの関節を確かめてから行います。歯の治療と合わせて、口元全体のバランスを考えられます。
②こんなお悩みの方に
歯ぎしり・食いしばりや、笑ったときの歯ぐき、あごのしわが気になる方に。

- 歯ぎしりを指摘されたことがある
- 気づくと、歯を強く食いしばっている
- 朝、あごが疲れている・こわばっている
- 笑うと歯ぐきが見える(ガミースマイル)
- あごの梅干しじわが気になる
あごの痛みや口の開けにくさ(顎関節症)がある方は、まず原因を確かめます。注射が向くかは診察のあとでお伝えします。
③期待できること
噛む力がやわらぎ、歯やあごの負担を減らすことにつながります。
笑ったときの歯ぐきを、手術をせずに見えにくくする方法にもなります。

歯ぎしり・食いしばり
あごや筋肉のだるさ・痛みが楽になったと報告されています [2][3]。
歯ぎしりのくせそのものはなくならないため [1]、歯を守る基本は夜のマウスピースです。ボトックスは、それと組み合わせる方法です [2]。
ガミースマイル
上くちびるの筋肉をやわらげ、歯ぐきを見えにくくします(平均2mmほど減ったと報告されています [5])。効果は数か月で薄れますが、手術をせずに試せます。
口元のしわ・口角
あごの梅干しじわをやわらげ、口元をすっきり見せる使い方もあります。
④治療の例(治療前・治療後)
当院で治療した方の写真です。
効果には個人差があります。
食いしばり・歯ぎしり(咬筋)


エラのあたりの張りが、治療後にやわらいでいます。
- 主な訴え:食いしばり・歯ぎしり
- 治療の内容:両側の咬筋へのボトックス注射
- 費用:22,000円(税込・咬筋)
- 主なリスク:内出血、注射したところの痛み・腫れ、しばらく噛みにくい、口角が上がりにくい、など(くわしくは「リスクと注意点」)
ガミースマイル(上くちびるの筋肉)


笑ったときに見える歯ぐきが、治療後に少なくなっています。
- 主な訴え:笑うと歯ぐきが見える
- 治療の内容:上くちびるを持ち上げる筋肉へのボトックス注射
- 主なリスク:内出血、注射したところの痛み・腫れ、しばらく噛みにくい、口角が上がりにくい、など(くわしくは「リスクと注意点」)
写真は当院で治療した患者さんのものです(ご本人の同意のうえで掲載)。効果の出方や続く期間には個人差があり、同じ結果をお約束するものではありません。
⑤治療の流れ
診察とご相談のあと、注射は数分で終わります。
1週間後に効き方を確かめます。

ボトックス治療の流れ
- 診察・ご相談お悩みをうかがい、お口の中・口元・あごの関節を確かめます。初診の日は、診察のみです。
- 注射表面麻酔と、極細の針を使います。5分ほど押さえて血を止めたら、そのままお帰りいただけます。
- 効き始め3日〜1週間ほどで、効果を感じ始めます。
- 1週間後の確認効き方を確かめます。4〜6か月後を目安に、続けるかを一緒に決めます。
必要に応じて、マウスピースや噛み合わせの治療も並行して行います。
⑥リスクと注意点
内出血や一時的な噛みにくさが出ることがあり、多くは時間とともにおさまります。
妊娠中の方などは受けられません。
起こりうること
- 内出血が出ることがあります
- 注射したところの痛み・腫れ(ふつうは2〜3日、長いと1週間〜10日ほど)
- 噛みにくさ:硬いものが噛みきれない、あごがだるい(とくに最初の1か月)
- 笑うときに、口角が上がりにくくなることがあります
多くは軽く、時間とともにおさまります [1]。繰り返すとあごの骨が少し薄くなるという報告もあり、間隔をあけ、必要な量だけにします [6]。
受けられない方
- 妊娠中・授乳中の方、妊娠の予定がある方
- 心臓の病気、出血しやすい病気、ケロイド体質の方
- 神経や筋肉の病気(重症筋無力症など)がある方
- 注射するところに、感染・傷・金属のプレート・シリコンなどがある方
- 体調が悪い方、お酒を飲んでいる方
⑦自費診療と、お薬についてのお知らせ
自費診療です。
歯ぎしりなどへの使用は、国内で承認された使い方ではありません(適応外使用)。
料金は、料金表のページでご覧いただけます。初診の日は、診察のみになります。
お薬についてのお知らせ
歯ぎしり・食いしばり・ガミースマイルなどへの使用は、国内で承認された使い方ではありません(適応外使用)[7]。使うお薬の名前と入手先、海外での安全性の情報は、ご相談のときにご説明します。
この使い方で重い副作用が起きた場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外になることがあります [8]。
効果には個人差があり、この記事は個別の診断に代わるものではありません。持病やお薬のある方は、事前にお伝えください。
Q&A
参考文献(8件)
- Val M, Colonna A, Nykänen L, Pollis M. Effects of Botulinum Toxin Injection on Masticatory Muscle Activity in Sleep Bruxism: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Clin Med. 2026;15(18):7179.PMID: 42795952
- Aldosari LIN, Chauhan E, Kaur K, et al. Occlusal splints versus botulinum toxin for the management of clinical sequelae associated with adult sleep bruxism: A systematic review and meta-analysis. Cranio. 2026:1-17.PMID: 42274300
- Chen Y, Tsai CH, Bae TH, et al. Effectiveness of Botulinum Toxin Injection on Bruxism: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Aesthetic Plast Surg. 2023;47(2):775-790.PMID: 36694050
- Saini RS, Ali Abdullah Almoyad M, Binduhayyim RIH, et al. The effectiveness of botulinum toxin for temporomandibular disorders: A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2024;19(3):e0300157.PMID: 38483856
- Rojo-Sanchis C, Montiel-Company JM, Tarazona-Álvarez B, et al. Non-Surgical Management of the Gingival Smile with Botulinum Toxin A-A Systematic Review and Meta-Analysis. J Clin Med. 2023;12(4):1433.PMID: 36835971
- Moussa MS, Bachour D, Komarova SV. Adverse effect of botulinum toxin-A injections on mandibular bone: A systematic review and meta-analysis. J Oral Rehabil. 2024;51(2):404-415.PMID: 37668276
- 厚生労働省 医療広告ガイドライン(未承認医薬品・適応外使用の自由診療を掲載するときの限定解除の要件:未承認であること、入手経路、国内の承認医薬品の有無、諸外国での安全性の情報)
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品副作用被害救済制度(適正な使用でない場合などは対象外)

