「健診で体重やお腹まわりを指摘されたけれど、
何から始めればよいのでしょうか?」。
体重の管理は、見た目を変えるためだけのものではありません。
大切なのは、血糖や血圧などを含めて体の状態を知り、
健康を守ることです。
お口の健康にも目を向けながら、肥満との付き合い方を考えてみましょう。
脂肪は、エネルギーをためるだけではありません
脂肪組織は、エネルギーを蓄えるほか、
食欲や糖の利用などに関わる物質を分泌しています。
体のさまざまな場所へ情報を届ける役割もあるのです。

エネルギーを蓄える働きと、
体へ情報を届ける働きがあります。
脂肪細胞が大きくなり、脂肪組織の働きが乱れると、
弱い炎症が長く続くことがあります。
この慢性的な炎症は、
血糖を下げるホルモン「インスリン」が効きにくくなる状態と関係します。
こうした変化が、
2型糖尿病などの背景の一つになります。
ただし、脂肪は体に必要な組織でもあり、
多いというだけで全員に同じ病気が起こるわけではありません。
「肥満」と、治療が必要な「肥満症」
日本では、成人のBMIが25以上の場合を肥満と分類します。
BMIは、体重(kg)を身長(m)の二乗で割った体格の目安です。
一方、肥満に加えて関連する健康障害がある場合や、
内臓脂肪の蓄積によって健康障害を起こすリスクが高い場合には、
医師が「肥満症」と診断し、治療を検討します。
つまり、体重の数字だけで治療の必要性は決まりません。
腹囲や血糖、血圧などの健診結果も合わせて確認しましょう。
治療の目的は、体重をひたすら減らすことではなく、
健康障害の予防や改善です。
減量の必要性や目標は、
年齢、持病、栄養状態に合わせて相談することが大切です。
リバウンドを自分のせいにしないで
体重には、食事や活動量だけでなく、
遺伝、睡眠、薬、生活環境などが関わります。
減量後は体が必要とするエネルギーが少なくなり、
食欲に関わるホルモンなども変化するため、
減らした体重を保つのが難しいことがあります。
短期間の厳しい制限よりも、
続けられる方法を考えましょう。
甘い飲み物や間食の量を振り返る、
食事に野菜や豆類を取り入れる、
無理のない散歩を習慣にする、
といった小さな工夫から始められます。
筋力を保つ運動も、
体調に合わせて取り入れたいものです。
うまく続かなかった日は、
できそうなことから再開すれば大丈夫です。
食事や活動を簡単に記録すると、
生活のどこを変えられそうか、
医師や管理栄養士と一緒に考える手がかりになります。
体のケアと一緒に、歯ぐきの確認も
糖尿病は歯周病を悪化させる要因の一つです。
歯ぐきから血が出る、
腫れを繰り返すといった変化があれば、
痛みがなくても歯科で確認しましょう。
毎日の歯みがきと、
必要に応じた歯周病の治療を続けることが大切です。
お口の治療だけで肥満や糖尿病が治るわけではありません。
糖尿病の治療中の方は、病状や服用している薬を歯科でもお伝えください。
健診で気になる項目がある方は内科などに相談し、
食事や運動を大きく変える際も主治医と確認しましょう。
体とお口の両方を、無理なく続けられるケアで守っていきましょう。
参考資料
- 日本肥満学会:肥満と肥満症について
- Masaji Sakaguchi(JMA Journal, 2024):Adipose Tissue Dynamics, Thermogenesis, and Interorgan Connections for Preventing Obesity and Metabolic Disorders
- NIDDK:Factors Affecting Weight & Health
- NIDDK:Eating & Physical Activity to Lose or Maintain Weight
- 日本歯周病学会:歯周病Q&A


