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「よく噛む」と何が変わる?食事と体を支えるお口の働き

「よく噛んで食べましょう」と聞いても、
なぜ大切なのか、何を変えればよいのかは意外とわかりにくいものです。

噛むことは、食べ物を小さくするだけではありません。
食事を楽しみ、必要な栄養をとるための土台です。

今回は、噛む仕組みと体とのつながり、
今日からできる工夫をお話しします。

噛むのは、歯だけの仕事ではありません

食べ物を歯の上に運ぶのは舌、
口の中に保つのは唇や頬です。

歯で細かくした食べ物を唾液と混ぜ、
舌で飲み込みやすいまとまりに整えます。

この一連の働きを支えるのが「咀嚼(そしゃく)」です。
歯の本数だけでなく、舌や頬の動き、唾液の状態も食べやすさに関わります。

歯は食べ物を細かくし、舌は食べ物を運んでまとまりに整え、唾液は食べ物と混ざる。唇や頬も食べ物を口の中に保つことを示す図。
噛むことは、歯・舌・唾液に加え、
唇や頬も協力する働きです。

噛みにくくなると、
食べられるものを無意識に選び、
食事が偏ることがあります。

「歯が痛くないから大丈夫」ではなく、
以前と同じように食事を楽しめているかも、
お口の健康の目安にしてください。

よく噛めば、血糖値も下がるのでしょうか

噛む刺激と、血糖を調節するホルモン「インスリン」の分泌には関係があると考えられています。
少人数の健康な成人がガムを噛んだ後にブドウ糖液を飲む実験では、
噛まない場合と血糖やインスリンの推移に違いがみられました。

ただし、これは限られた条件での短時間の実験です。
「ガムを噛めば糖尿病を予防できる」
「よく噛めば薬がいらなくなる」という意味ではありません。

動物実験の結果も、
そのまま人の治療効果には置き換えられません。

また、早食いと肥満には関連が報告されていますが、
ゆっくり食べるだけで必ずやせるわけではありません。
噛み方は、食事の内容や量、運動などと一緒に見直す生活習慣の一つです。

まずは、ひと口と食事のペースから

急いで食べることが多い方は、
ひと口の量を少なめにし、
口に食べ物がある間は次のひと口を運ばないようにしてみましょう。

ときどき箸を置き、味や食感に意識を向けるのも一つの方法です。

忙しい毎食を一度に変える必要はありません。
まずは落ち着いて食べられる一食から、
普段の食べ方に気づくことを始めてみてください。

家族と比べて競うのではなく、
ご自身のペースで続けることが大切です。

「一口30回」はよく知られた目安ですが、
食品の硬さやお口の状態によって必要な噛み方は変わります。

回数の達成を目的にせず、
自分が無理なく食べられるペースを探しましょう。

硬いものを我慢して噛む必要もありません。
痛みがあるときやむせやすいときは、
自己流で噛む練習を増やさず、歯科で相談してください。

「噛めない」を、年齢のせいにしないで

肉や野菜を避けるようになった、
片側でばかり噛む、
入れ歯が動く、
食事中にむせる。

こうした変化は、
受診時に伝えたい大切な情報です。

むし歯や歯周病、
入れ歯の不具合だけでなく、
お口の動きの低下が関わっている場合もあります。

受診前に「何を食べると困るか」「いつから変わったか」をメモすると、
相談しやすくなります。

よく噛む意識と、無理なく噛めるお口の状態は、
両方そろってこそ役立ちます。

毎日の歯みがきと歯科での確認を続けながら、食べる楽しみを長く守っていきましょう。

参考資料

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