舌の位置で歯並びが変わる?意外と知らない「舌」の大切な役割

舌の位置で歯並びが変わる?意外と知らない「舌」の大切な役割

皆さんは普段、自分の「舌」が口の中のどこにあるか意識したことがありますか?
舌というと、味を感じたり、食べ物を動かしたり、
言葉を話したりするための器官というイメージが強いと思います。

ところが歯科の立場から見ると、舌にはもう一つ、とても大切な役割があります。

それは、歯並びを内側から支えることです。

舌はとてもよく動く筋肉

舌はいくつもの筋肉が組み合わさってできており、
前に出す、引っ込める、丸める、上下左右へ動かすなど、非常に複雑な運動ができます。

私たちは話したり、噛んだり、飲み込んだりするたびに、
この舌を無意識のうちに細かく動かしています。
だからこそ、舌をどのように使っているかは、口全体の機能を考えるうえで重要なのです。

歯は「舌」と「唇・頬」の間に並んでいる

歯並びというと、顎の骨の大きさや歯の大きさだけで決まるように思われがちです。
しかし実際には、歯の外側からは唇や頬が、内側からは舌が力を加えています。

正常な状態では、この内側と外側からの力がバランスを取り、
その間に歯列が安定しているのです。

口腔内の舌の位置
口腔内の舌の位置


図でも、舌が歯列を内側から支え、頬や唇との力の均衡が歯列の位置に関係することが示されています。

つまり、「歯並びは歯だけを見ればよい」というわけではありません。
舌、唇、頬まで含めて一つのシステムとして考える必要があります。

舌の位置も大切です

舌が口の中のどこにあるかによって、歯にかかる力も変わります。
正常な状態の舌は口腔内を満たすように存在しており、
(閉口時には、舌は上顎全体に接しているのが正しい状態です。)
歯列を内側から支えていることが説明されています。

反対に、舌がいつも低い位置にある舌で前歯を押す癖がある、といった状態では、
歯列に加わる力のバランスが変化し、歯並びが悪くなる影響となります。

矯正治療でも、歯をきれいに並べるだけではなく、
治療後にその歯並びを安定させる環境まで考えることが大切なのです。

滑舌や舌の動きが気になる方へ

  • 「昔から滑舌が悪い」
  • 「舌がうまく動かせない気がする」
  • 「飲み込むときに舌で歯を押している気がする」
  • 「自分の舌の位置が正しいのかわからない」

このようなことが気になる方は、一度ご相談ください。

もちろん、滑舌には舌だけではなく、
歯並びや顎、発音方法などさまざまな要素が関係するため、
滑舌が悪い=必ず舌に問題がある、ということではありません。

ただ、歯並びや噛み合わせだけでなく、
舌の位置や動かし方まで確認することで、
原因を考える一つの手がかりになることがあります。

普段は存在すら意識しない「舌」ですが、
実は毎日、私たちの歯並びや口の機能を陰で支えています。

滑舌や舌の動かし方、舌の位置が気になる方は、お気軽にご相談くださいね。

参考資料

  1. 公益社団法人 日本矯正歯科学会「矯正歯科診療のガイドライン(前歯部)開咬編」2023年
    前歯部開咬に関する日本矯正歯科学会の診療ガイドラインです。日本歯科医学会のガイドラインライブラリにも掲載されています。日本オープンソース推進協議会
  2. 日本口腔筋機能療法学会「口腔筋機能療法(MFT)」
    舌突出癖や口呼吸などの口腔習癖と歯並び・咬み合わせとの関係、舌・口唇・頬などを対象としたMFTについて解説されています。オーラルマイオファンクショナル
  3. 日浅早紀・川合暢彦・堀内信也ほか「小児不正咬合患者の口腔機能異常の特徴」Journal of Oral Health and Biosciences, 2022;35(1):1–8.
    正常咬合群と不正咬合群を比較し、不正咬合患者では舌突出、低位舌などの口腔機能上の問題が多く認められたとする原著論文です。