残っている歯を「守る」ための治療
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歯科治療を支える「接着システム」のお話です。
虫歯を削ったあと、白い樹脂を詰めたり、セラミックの詰め物や被せ物を装着したりします。
こうした治療で、実はとても重要なのが、「歯と材料をどのように接着するか」という工程です。
歯科治療では、単純に「強力な接着剤を塗ればいい」というわけではありません。
歯の表面には「エナメル質」と、その内側にある「象牙質」があり、それぞれ性質が異なります。
また、接着する材料にも、コンポジットレジン、セラミック、ジルコニア、金属などさまざまな種類があります。
そのため歯科医師は、どこに、何を、どのように接着するのかを考えながら接着システムを選択しています。
近年の歯科治療では、「ユニバーサルボンド」と呼ばれる接着材が広く使用されるようになっています。
「ユニバーサル」と聞くと、「これ1本ですべて接着できる万能接着剤」のように思われるかもしれません。
しかし、実際にはもう少し複雑です。
現在のユニバーサルボンドには、歯への接着だけでなく、
さまざまな修復材料への接着に対応したものや、
複数の歯面処理方法を選択できるものがあります。
つまり、
「ユニバーサルだから、どの治療でも同じように使えばよい」わけではありません。
それぞれの材料の特徴や治療する歯の状態を理解し、適切な方法を選択することが重要なのです。
歯に材料を接着するときには、その前に歯の表面を接着しやすい状態に整えます。
その代表的な処理が「エッチング」です。
接着方法には、大きく分けると、
などがあります。
どの方法を選択するかは、削った場所、残っているエナメル質の量、象牙質の状態などによって変わります。
同じ「白い詰め物の治療」であっても、すべて同じ接着操作をしているわけではないのです。
歯科の接着システムには、
一つの材料で処理を行う「1ステップタイプ」や、
歯面処理と接着を分けて行う「2ステップタイプ」などがあります。
1ステップタイプには、操作を簡略化しやすいという特徴があります。
一方、2ステップタイプでは工程を分けることで、それぞれの操作をより明確に行うことができます。
ここで大切なのは、
「工程が少ないほど優れている」
「工程が多いほど古い」
という単純な話ではないということです。
治療する歯や修復材料によって、それぞれの特徴を生かして選択することが大切です。
白い詰め物や被せ物にも、セラミック、ジルコニア、CAD/CAM冠など、さまざまな材料があります。
材料が変われば、表面の性質も変わります。
そのため、歯との接着だけではなく、
「被せ物や詰め物の内側を、どのように処理するか」
も重要になります。
場合によっては、接着材だけではなく、
それぞれの材料に適した「プライマー」と呼ばれる処理剤や、
レジン系の接着用セメントなどを組み合わせます。
セラミックだからこの方法、
ジルコニアだからこの方法、といったように、
修復材料の性質を理解したうえで接着方法を選択する必要があります。
患者さんから見ると、白い詰め物を入れる治療は、
「虫歯を削って、白い材料を詰める」
という比較的シンプルな治療に見えるかもしれません。
しかし実際には、その間に、
どの歯質に接着するのか。
どの材料を使用するのか。
どのように歯面を処理するのか。
どの接着材やセメントを組み合わせるのか。
といった、いくつもの判断があります。
そして、接着材そのものの性能だけでなく、
適切な材料を選び、決められた手順を丁寧に行うことも非常に重要です。
当院でも、「よくくっつく接着剤を使えばよい」という考え方ではなく、
歯の状態や使用する修復材料に合わせて、適切な接着方法を選択することを大切にしています。
普段は患者さんからほとんど見えない工程ですが、
こうした一つひとつの操作が、より良い歯科治療を支えています。
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