残っている歯を「守る」ための治療
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「上下の歯がきちんと当たっていれば、よい咬み合わせなのでしょうか?」
診療室で、ときどきこのような質問をいただきます。
結論からお伝えすると、咬み合わせは歯の接触だけで判断できるものではありません。
歯科では咬み合わせを「咬合(こうごう)」と呼びます。
口を閉じたときに上下の歯がどのように接触するかという静的な関係に加え、
食べ物を噛む、飲み込む、話すといった動きの中で、歯列がどのように働くかも大切です。
その動きを支えているのは歯だけではありません。
歯根を支える歯周組織、下顎を動かす咀嚼筋、
耳の前にある顎関節、そしてこれらの動きを調整する神経系が連携しています。
咬合は、いわば複数の楽器が一緒に演奏するオーケストラのようなものです。
一つひとつが良くても、全体の調和が崩れると、噛みにくさや違和感につながることがあります。
見た目が整っていることや、上下の歯が均等に触れることは重要な評価項目です。
ただし、理想的な歯型に当てはまるだけで、その人にとってよい咬合とは限りません。
痛みなく顎を動かせること、無理なく食べられること、
歯や歯ぐきに負担が集中しにくいこと、
口元が顔貌と調和していることなどを総合して考えます。
さらに咬み合わせは、むし歯や歯周病、歯の喪失、歯ぎしり、
詰め物や被せ物、加齢による変化などの影響を受けます。
現在安定していても、時間とともに変化する可能性があるのです。
「急に咬み合わせが変わった」「特定の歯だけ先に当たる」
「噛むと痛い」「口が開けにくい」と感じた場合は、
歯だけでなく、歯周組織や筋肉、顎関節まで確認する必要があります。
一方で、咬み合わせのずれだけが顎関節症の原因とは限りません。
生活習慣や緊張、外傷など複数の要因が関係するため、
自己判断で咬み合わせを変えようとせず、歯科医院で総合的な診査を受けましょう。
よく噛めることは、毎日の食事を楽しむ土台です。
歯の形だけではなく、動きと時間まで含めてお口全体を見ることが、
咬合を守る第一歩だと私たちは考えています。
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