現在、我が国では国民皆保険という制度があり、誰もが平等に保険で医療を受けることができます。さて、この保険制度、国民皆保険ができた経緯をご存じですか?
現行の保険医療制度は戦後作られたもので、様々な点で世界に誇れる素晴らしい制度です。これだけ高い割合で「国民皆保険」が実施されている国はほとんどないでしょう。特に歯科の場合、これだけ低料金で欠損補綴(入れ歯やブリッジ)を受けられる国はなかなかなく、世界に誇れるシステムであると思います。
健康保険が誕生した理由には、「感染症」の対策がありました。
戦後、日本人の主な死亡原因は結核や肺炎などの細菌感染が原因となる感染症でした。 日本復興するにあたり、若い世代の日本人が、感染症で死んでいくのはなんとか避けなければならない。そこで国民が等しく医療を受けられるシステムとして国民皆保険が導入されたわけです。
国民健康保険法では「国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとする」とあるとおり、基本的には疾病があるという前提のものなのです。
しかし、現在では「感染症」よりも「慢性疾患・生活習慣病」へと構造が変化してきました。そして、医療費もかなりの割合がそれらの病気に対する治療費として使われており、医療費の高騰を招いています。
2005年にはとうとう、死亡者数が、出生数を上回りました。2020年までには高齢者(65歳以上)人口が全体の25%以上を占めま
す。端的にこれは何を意味するかというと、3人で1人の高価な高齢者の医療費をまかなうということになります。つまり今後、医療費は高くなることはあっても、下がることは無いということです。
歯科治療においてはお口の中の疾患のほとんど、つまりむし歯や歯槽膿漏(しそうのうろう)は「慢性疾患」そして「生活習慣病」です。もう二度と生え変わることのない永久歯がむし歯になっても、数千円を支払えば元に戻るとお思いの方が少なくありません。歯肉が腫れても、薬を塗って痛みがひいたらそれで大丈夫とお思いの方も少なくありません。お口の中のばい菌を0(ゼロ)にする事は不可能ですし、菌が存在することで免疫機構が保たれているのも事実です。生活習慣病を防ぐためには、予防的治療が非常に大切になってきます。
保険治療でも、長く治療が必要な場合、治療費も結構かかります。治療後も放っておくとまた悪くなることも少なくありません。そうなりますと、再治療の繰り返しとなりまた治療費がかかる訳です。定期検診をしっかり受けて再発防止に努めた場合、かかる治療費の差は歴然です。医療費が高くなる昨今、あなたはどちらを選びますか?
